2012 Fiscal Year Research-status Report
北海道所在史料群の伝存状況からみる地域的特質に関する基礎的研究
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23520796
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
谷本 晃久 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (20306525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 淳 札幌大学, 地域共創学群, 教授 (10405623)
松本 あづさ 藤女子大学, 文学部, 講師 (90510107)
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Keywords | 北海道 / 史料群 / 近世 / 場所請負 / 殖民社会 / 近代 / 十勝 / 利尻島 |
Research Abstract |
本研究「北海道所在史料群の伝存状況からみる地域的特質に関する基礎的研究」の当該年度の実績は、昨年度に引き続き、北海道地方の地域社会の特質をティピカルに示すと考えられる史料群である北海道河西郡豊頃町二宮地区の君尹彦氏収集文書ならびに同利尻郡利尻富士町鬼脇地区の寺嶋菓子舗文書を対象とした史料調査団を組織しての史料調査の実施を軸になされた。 調査にあたっては、現状記録方式を採用し、史料保存状況のスケッチ等による記録に基づき、現秩序に則した文書番号を付与し、中性紙封筒に封入・整理し、目録を作成した。また併せてディジタルカメラによる撮影を行い、大学における整理・分析の態勢を整えることができた。 君尹彦氏収集文書は全体の8割の目録作成が完了し、内容の分析・検討に着手することができた。新たに見出された史料で目立ったのは、北海道の風土に根差した戦後初等教育史に関するおびただしい一次史料である。今年度は目録の完成と内容の分析を進め、報告書への掲載を期したい。 寺嶋菓子舗文書は、文字史料の目録作成が全体の8割を超え、撮影も過半数を超えた。さらに当該年度は、研究協力者に物質文化研究のエキスパートである佐々木利和氏を迎え、アイヌ装束や漆器・陶磁器といった物質文化資料の調査(調書作成・撮影)を手がけることが叶った。さらに、文字史料目録と史料群の特質を学術雑誌に発表することもできた。新たに見出された礼文島の漁場史料を含め、総合的なイエ文書の性格を明らかにする環境が整いつつある。 以上のように、昨年度に引き続き北海道所在の近世・近代史料群を、現状記録方式を用い、大学院生・学生の参加を得て具体的かつ本格的に調査がなされたことは、今後の北海道における歴史研究の水準を担保するうえでも、大きな意義があったものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績に記した、ふたつの史料群を対象とした調査団を組織しての史料調査を実施することが叶ったため。目録の電子入力作業も、逐次進めることができ、本年度完成の目途が立った。調査概報についても、寺嶋菓子舗文書に関し、学術雑誌に公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、最終年度である。引き続き平成24年度と同規模の史料調査を年2~3回実施し、現状記録・目録作成・史料撮影をおこなう。その際、目録の完成を期した調査を意識する。調査の概報も、公表する。併せて、得られた現状記録ならびに史料画像を素材とし、史料の構造分析ならびに史料から見出された論点に即した研究を進める。 そのうえで、調査史料の内容分析に着手し、目録とともに、研究報告書等のかたちで頒布できるような作業を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査に関する費用ならびに史料分析に関する費用を旨としつつ、報告書の作成費用を意識し、計画的に予算を執行したい。
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