2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520799
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永田 英明 東北大学, 学術資源研究公開センター, 准教授 (20292188)
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Keywords | 地域間交通 / 駅伝馬制 / 河川交通 / 道制 / 辺境支配 / 蝦夷 |
Research Abstract |
平成24年度は、分析の基礎となる古代交通制度関連文献史料の再検討を進めると共に、前年度実施した陸奥出羽南部地域に加え陸奥国北部地域をも加えた形で基礎的な史料やデータの収集・整理をおこなった。 具体的な史料調査・収集活動としては、(1)前年度よりおこなっている歴史の道調査報告書等に自治体史等を加えた形での、各地域における交通路復原に関わる情報の収集整理。(2)宮古市周辺を中心とした、岩手県三陸沿岸地域の現地調査、(3)東京国立博物館所蔵九条家本延喜式巻28(諸国駅伝馬条)の調査(高精細写真画像データの借用)などをおこない、これらをもとにした分析を進めている。 またこれらの史料の分析と共に、①古代駅家制度について『和名類聚抄』「駅家」郷記載の史料的性格に関する再検討をつうじた、駅家制度と村落制度・戸籍制度の関係についての整理検討をおこない、②出羽国の東山道移管時期、天平九年の奥羽連絡路開削事業に関わる問題を中心にした、奥羽連絡路と陸奥出羽両国の支配政策やエミシ社会との関係に関して、分析・検討をおこなった。 研究成果の公表については、前記①に関する分析結果を含んだ論文を執筆し、これは2013年度に刊行される予定となっている。また前年度以来検討を進めてきた陸奥国の海道・山道に関する分析検討の結果については、4月に口頭報告をおこなった。なお前記②については、平成25年度に成果をまとめ、公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)古代東北における地域間交通路の調査復原については、文献史料の収集精査は順調に進み、具体的な分析に着手出来ている。また歴史の道調査報告書等の収集精査により、多様な交通路復原に関する素材の収集も順調に進展している。 (2)古代東北における交通制度・施設の実態分析についても、前年度の成果をさらに発展させている。 (3)前年度に課題であった城柵官衙遺跡と地域間交通の分析についても、情報収集と検討が順調に進展しつつある。 (4)古代東北における地域間交通と地域社会編成に関する分析についても、前年度の成果をふまえつつ一定の見通しを得つつあり、さらに考古学的情報の精査なども加え今後発展させていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、23,24年度における史料や情報収集の成果を補足しつつ、研究の最終年度として、総括的な検討・分析を進めていく予定である。24年度は、岩手・秋田県域を含めたかたちで資料の集積・整理をおこなうとともに、秋田県域などでの現地調査をおこなう。また24年度に進展した各種資料の写本調査等についても補足的な調査をおこなう。これらをもとに、(1)古代東北の交通路復原に関わる基礎的データの集成・整理を総括的におこなうとともに、古代東北における交通路および駅伝馬制施行の特性について総括的な見通しを得たい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、24年度中に予定していながら十分実施できなかった現地調査等の経費に関するものであり、平成25年度請求額とあわせて使用する予定である。
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