2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520799
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永田 英明 東北大学, 学術資源研究公開センター, 准教授 (20292188)
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Keywords | 辺境 / 官道 / エミシ社会 / 城柵 / 河川交通 / 駅家 |
Research Abstract |
平成25年度においては、前年度までの研究の継続と3年間の成果に関する見通しの獲得を目的に下記の作業をおこなった。(1)引き続き、旧版地形図や小字名資料の収集によって地理資料にみえる古代交通路復元のための情報の整理をおこなった。(2)東北北部のうち特に秋田県日本海側地域を中心に現地踏査と情報収集・分析をおこなった。3)古代駅家遺跡調査の先進事例である播磨国山陽道駅家の実地踏査をおこなった。(3)初年度・二年度の成果をもふまえ文献資料とあわせたかたちで古代東北における交通路研究の課題や特色について検討した。(4)これらの成果をもとに、仙台古代史懇話会および第40回古代城柵官衙遺跡検討会(代読)での報告をおこなった。また文献からみた古代官道研究の課題に関する論文を執筆し、そのなかで東北古代北部における古代交通路研究について課題を論じた。 3年間の研究によって得られた成果としては、下記の点があげられる。(1)古代東北の各地域における交通路の特色を。水運や山間交通路など自然的環境と政治的動向との相互作用という観点から解明できたこと。(2)エミシ社会における奥羽両地域にまたがる交通路およびネットワークの重要性を明確にできたこと。(3)古代東北における駅家や官道の政治性を特に城柵制支配との関わりで解明できたこと。(4)古代駅伝馬制度経営の東北における実態の解明。駅戸の設定・経営などが辺境支配の中でいかなるかたちでおこなわれたかを、他地域における駅伝馬制との比較から検討できたこと。(5)古代奥羽の地域編成と交通路整備との関係。出羽国の東山道移管や陸奥における交通路とエミシ支配の関係など地域の政治的編成と交通路の密接な関係を歴史的変遷過程とあわせて解明できたこと。 なお本研究の成果は平成26年度以降も随時公表する予定である。また同時に地理的資料を活用した交通路研究は今後も継続していく予定である。
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