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2011 Fiscal Year Research-status Report

「戦後復興」と都市社会―川崎市を事例として

Research Project

Project/Area Number 23520806
Research InstitutionYokohama National University

Principal Investigator

加藤 千香子  横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (40202014)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords戦後復興 / 在日朝鮮人 / 北朝鮮帰国事業 / 川崎市
Research Abstract

本研究の課題は、「戦後復興」期における都市社会を対象としながら、そこで国家的課題としての「復興」がどのように意識化され実行され「戦後」秩序が形づくられていく過程を、そこから排除されていくものの存在に焦点をあてて検証することである。 本年度においては、とくに戦後復興が進む過程における在日朝鮮人と日本社会の問題に取り組んだ。その成果としては以下のものがあげられる。 第一に、社会の「公共性」の変容という観点から、1950~70年代、さらに現在までを見通す見取り図を描く試みを行ったことである。2011年6月25日に行われた政治経済学・経済史学会春季総合研究会では、「都市の公共と非公共―20世紀のアジア都市を手がかりに」がテーマとされたが、そこで「1970年代日本における公共性の転換 ―川崎・在日朝鮮人からの問い―」の報告を行った。戦後復興期に成立した在日朝鮮人を排除する都市の「公共」のありさまと、それが1970年代以降に変容を見ていく経緯を論じたものである。 第二に、戦後復興期における日本社会と在日朝鮮人との関係で、特に1950年代に構想され1959年に始められる在日朝鮮人の「北朝鮮帰国事業」が大きな意味をもっていることに目を向け、その政策立案過程や都市における推進状況について調査を行った。本研究の対象である川崎市は「帰国事業」の発端となった場と言われており、その意味でも重視した。日本社会の「復興」構想や「復興」を目指す日本社会と密接な関係があることは明らかになったが、さらに調査を続けることとしたい。この問題については、東京での研究会で報告を行っている。 第三に、本研究の直接の対象とするのは川崎市であるが、比較のために他の大都市(大阪・名古屋・京都など)の復興過程や、復興による都市計画事業などの進展状況についての調査を行い、それぞれの都市の状況や川崎特有の状況などを視野に入れた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の目的は、「戦後復興」の都市における進展過程と戦後秩序形成を、その過程で排除される存在に目を向けながら検証することである。上記の成果の箇所で書いたように、在日朝鮮人の問題に焦点をあてた戦後復興期に関する調査研究は進展を見、特に「北朝鮮帰国事業」と戦後復興のかかわりが重要な論点になることを見出した点は意義があるといえる。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究にあたっては、これまでを研究をふまえながらさらに新たな視点も加え、以下のような点に留意して行っていくこととする。 第一に、初年度の研究で注目してきた在日朝鮮人の排除と戦後復興―特に「北朝鮮帰国事業」と戦後復興との関係に関しては、さらに調査を進めていく。事業立案者のみならずそれを受け入れ進めた日本社会、都市での動きなどを具体的に検証していく。その際、川崎は重要な位置を占めるが、それ以外の都市での動向も調査対象とする。 第二に、「戦後復興」の対象となったのは確かに都市―特に大都市であり、本研究の主眼もそこにおいたが、その一方で、同時代の農村や地方―特に東北地方など―はそうした都市の「復興」とどのような関係にあったのか、中心となる大都市とその対照となる<周辺>にの問題にも視野を向けていきたい。 第三に、初年度は在日朝鮮人と日本社会との関係に焦点をあてたが、さらにその中にジェンダーの視点を導入したい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

上記のような研究方策に基いて、次年度には以下のような使途を計画している。(1)戦後史や戦後復興、戦後在日朝鮮人、女性関係資料集・文献の購入 (2)戦後復興期の各都市の調査のための旅費・調査費 (3)1950~60年代における地方農村や東北地方に関する調査のための旅費・調査費。

  • Research Products

    (2 results)

All 2012 2011

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 現代日本のナショナリズムと「教科書問題」2012

    • Author(s)
      加藤千香子
    • Journal Title

      歴史科学

      Volume: 207号 Pages: 19-32

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 1970年代日本における公共性の転換 ―川崎・在日朝鮮人からの問い―2011

    • Author(s)
      加藤千香子
    • Organizer
      政治経済学・経済史学会春季総合研究会
    • Place of Presentation
      東京大学
    • Year and Date
      2011年6月25日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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