2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520813
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岸本 覚 鳥取大学, 地域学部, 教授 (80324995)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
|
Keywords | 藩祖 / 神格化 / 長州藩 |
Outline of Annual Research Achievements |
【最終年度の報告と実績】 最終年度は、長州藩関係の確認調査を中心に行い、ある程度の成果を発表・執筆することができた。まず二度にわたり山口県文書館における浦上キリシタン関係史料やそれに脅威を抱く武士階級等の史料を集め、なぜ藩祖を神格化していくのかという幕末維新期ならではの歴史的背景を比較的著名な武士や藩庁文書のなかからまとめた。報告講演としては、「明治維新と宗教-転換期長州藩にみる寺社と祭祀-」( 2015年10月10日)の山口県史講演会などに反映させている。幕末維新期にかけての藩祖神格化の大きな流れをキリシタンという問題を視野に再構成したものである。なお、この報告は後日『山口県史研究』24号(2016年3月)掲載した。 続いて薩摩藩に関わる点は科研期間を通じて史料収集に努め、ある程度の見通しをつけることができたが、本格的な成果公表には若干時間を有すると思われる。とりあえず、「近世薩摩藩祖廟と島津重豪」(『アジア遊学』190、特集:島津重豪と薩摩の学問・文化、2015年10月、勉誠出版)は薩摩藩の神格化と神仏分離関係を追求してきた一つの成果である。鎌倉に墓地を創出した島津重豪の歴史意識とその実現化に焦点をあてて科研での調査を盛り込んだ。 今回の科研では薩摩藩の動向も意識しつつ、幕末維新期の長州藩や諸藩の動向を成果として発表してきた。薩長以外では、「津和野のお殿様の神社参りー「百景図」に見る藩祖祭祀」(日本遺産認定記念特別講演会、2016年3月21日津和野町)として、幕末維新期の神道国教化を担う津和野藩の動向にも注目して発表講演も行った。こうした成果は、今後著書や論文等に随時発表していく予定である。
|
Research Products
(4 results)