2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520814
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
本多 博之 広島大学, 文学研究科, 教授 (30268669)
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Keywords | 銀 / 幕藩制市場構造 / 戦国大名 / 豊臣政権 / 物流 / 流通経済 / 石見銀山 / 西国大名 |
Research Abstract |
本年度も昨年度と同様、当該研究に必要な専門図書のほか、自治体史・史料集を補充・整備した。また、東京大学史料編纂所・内閣文庫・山口県文書館などで史料調査を実施し、原文書・影写本・謄写本・写真帳の閲覧のほか、マイクロリーダーによる影写本複写をおこなった。このうち山口県文書館では、博士課程在籍の大学院生3名を引率し、新たに公開されることになった史料群を中心に、閲覧と写真撮影を実施した。 このほか、宮内庁書陵部所蔵「毛利家古文書」(全2巻)と内閣文庫所蔵「尋憲記」(全12冊、紙背文書有り)は写真複製本を、東京大学史料編纂所架蔵影写本「後藤文書」はマイクロリーダー複写本を入手して分析をおこなった。さらに、周防上関や播磨室津など中世瀬戸内海における主要港津の空間構成(港湾の形状や集落・寺社の配置)や周辺の景観について再確認するため、現地調査を実施した。 研究内容としては、豊臣政権期の中央と地方の関係を確認するために、京・大坂と各地の城下町との人的な結びつきや交流、「モノ」の流れ、中世経済拠点の消滅、そして藩域の成立によって新たに生まれた物流について分析を進めた。特に、首都市場圏の歴史的展開を探るため、応仁の乱後の京都再生の過程と豊臣政権期に登場した新たな求心的市場構造について分析し、京・大坂における作事・普請の状況と、そのための資材搬入の状況について明らかにした。 これら成果の一部は講座・講演等で報告したほか、十五・十六世紀の山陰地域における流通経済と貿易状況の史的展開について、東アジアの視点で整理し、中世から近世への社会的変容を「十五・十六世紀山陰地域における流通経済と貿易」と題する論文にまとめて発表した。そして現在、研究期間全体の成果をふまえ、東アジアにおける銀の動向を背景とする戦国・豊臣期の政治経済の構造的変化について一書にまとめることとし、26年度中の刊行に向けて作業を進めている。
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