2011 Fiscal Year Research-status Report
近代日仏間生糸・絹織物貿易史の研究-リヨン絹織物業組合の原史料を中心に-
Project/Area Number |
23520822
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
富澤 一弘 高崎経済大学, 経済学部, 教授 (90265455)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 近代フランス蚕糸業 / リヨン絹織物業組合 / リヨン絹織物業史 / 近代日本蚕糸業史 / 近代日本絹織物業史 |
Research Abstract |
平成23年度の研究は、フランス・パリ市の国立図書館「フランソワ・ミッテラン館」への出張・史料収集を中心としている。すなわち、平成23年9月29日(木)より10月16日(日)までの18日間、休館日の日曜日を除き、全日、全開館時間にわたり、地下の研究者用のブースに身を置き、リヨンで刊行された《Bulletin des soies et des soieries》(1877-1932年)を閲覧、複写作業を行ってきた。 同紙は、当時世界最大の絹織物業団体・リヨン絹織物業組合の機関紙として刊行されており、フランス、リヨンのみならず、日本、極東、そして世界の蚕糸業・絹織物に関する重要な記事を、多数含んでいる。しかしながら、その重要性にもかかわらず、日本国内では、関東大震災や戦災のために、まとまっては現存せず-1900年代以降の少数の号が、きわめて不連続なかたちで散在するのみで、国立国会図書館も未収蔵-、戦後、わが国では、すっかり忘れ去られた存在であった。 かかる貴重な業界紙を、創刊の1877年より、1932年に至るまでの期間、悉皆的に閲覧して、カードを作成している。それらのうち、殊に重要と思われる7000頁以上の撮影を、最新鋭のデジタルカメラにより行って、帰国している。 また、これら大量の史料の判読・翻刻に平行して、国内の各種史料所蔵機関においても、明治期以降、昭和前期の日仏間生糸・絹織物業関連の文献調査を行っており、相当数の史料を入手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度のフランス現地調査は、5年度計画の初年度にあたるが、最重要史料の〈Bulletin des soies et des soieries〉の創刊年度1877年より、1932年度までの記事を閲覧・調査し得た。そしてカード取りと平行して、精選しつつも、7000枚の写真として、複写することができた。それゆえ、当初の予定以上の成果が得られたものと考えている。 また国内では、各種の史料所蔵機関で補充調査を行い、相当数の日仏間生糸・絹織物貿易史関連史料を、入手することが叶った。 これら内外の両側面より、考えるに、平成23年度の調査計画は、おおむね成功であった、といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度以降も、海外調査は、フランス・パリ市の国立図書館「フランソワ ミッテラン館」を中心とする。閲覧・複写の対象は、前年度通り、〈Bulletin des soies et des soieries〉を中心とする。時間的制約から、前年度複写を割愛した部分を中心に、可能な限り、優秀な史料を多数、複写して帰国したい。 また同館では、フランス、リヨンに関する新聞・雑誌史料を、極力大量に閲覧・複写していくつもりである。 さらに国内では、補充調査として、各種の史料保存機関に赴き,明治‐昭和初期の日仏間生糸・絹織物貿易史関連史料を、精力的に収集していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の海外調査の日程は、すでに確定している。すなわち6月28日(木)より、7月16日(月)まで、フランス・パリ市に赴くことが、所属大学の教授会にて、承認を受けている.従って、平成24年度の申請者の直接経費(70万円)のほとんどは、17泊19日のフランス調査の渡航費・日当等で、充足をみるものと思われる。
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