2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520829
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
高埜 利彦 学習院大学, 文学部, 教授 (90092254)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 暁龍 桜美林大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30511852)
西村 慎太郎 国文学研究資料館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (90383546)
|
Keywords | 日本史 / 近世史 / 天皇 / 朝廷 / 江戸幕府 |
Research Abstract |
平成24年(2012)9月15日・16日の両日にわたって「第5回 近世の天皇・朝廷研究大会」を開催した。1日目は〈シンポジウム〉「武家伝奏と禁裏小番―中世・近世との比較から―」を企画し、家永遵嗣「室町幕府と『武家伝奏』・禁裏小番」・平井誠二「武家伝奏と高家」・田中暁龍「中・近世の禁裏小番と武家昵近衆」の3報告と高埜利彦の司会で討論がなされた。企画の趣旨は、中世・近世権力構造の比較研究ということになるが、具体的には武家伝奏・禁裏小番や武家昵近衆にスポットをあて、それらが果たした役割や関係を実態的に描く中で、室町幕府と江戸幕府のそれぞれの権力の個性や特質を解明しようとするものである。二日目は、自由論題研究会を開催し、林大樹「近世公家社会における避諱と改名」・松金直美「東本願寺門跡の関東参向」・三ツ松誠「諸家執奏停止と神祇官」の報告を得た。シンポジウムと自由論題の各報告は、平成25年(2013)3月末日に『第5回 近世の天皇・朝廷研究大会成果報告集』として刊行された。大会の準備は平成24年4月13日、5月17日、7月9日、7月23日、9月7日に研究会を開催して、シンポジウムのテーマの検討や人選について協議し、実施に向けた取り組みを行った。大会当日は、全国各地からの参加者もあり、活発な議論とともに意見交換がなされ、近世天皇・朝廷研究の基盤形成に意義あるものとなった。 また、研究基盤形成のための法令集編纂に向けて、三重県津市一身田にある浄土真宗高田派本山専修寺門跡の所蔵資料調査と写真撮影を、8月29日・30日・31日に行った。写真撮影の前に所蔵目録を作成する必要があり、未整理史料の目録化に時間と労働力が必要な状態にあることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目に当たる平成24年度は、研究基盤形成のために立てた当初の計画通り(1)近世の天皇・朝廷研究大会を平成24年9月15日・16日に学習院大学において開催し、全国から朝幕関係の研究者の参加を得て議論を行い、共通の課題を検討することができた。 『第5回 近世の天皇・朝廷研究大会報告集』を刊行することもでき、活字印刷物として大会に不参加の研究者にも情報提供することができる。これらは平成23年度に開催した同大会と同様に意義ある成果を生み出すことができた。また、(2)近世の天皇・朝廷研究に関する法令集編纂に向けて、三重県津市一身田にある浄土真宗高田派本山の専修寺門跡所蔵史料の調査と写真撮影についても、平成23年度同様に平成24年8月29日・30日・31日に行うことができ、史料の目録化と撮影を実施することができた。予算の制約から、目録化作業に当たれる人員が十分ではなく、作業量に影響した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度については、研究代表者高埜利彦が勤務先(学習院大学文学部)において1年間の国内外研修を実施することになり、外国出張の時期の関係から例年の近世の天皇・朝廷研究大会の開催をずらして計画準備に入っていた。そうした時に日本史研究会の大会(京都)の日程が明らかになり、平成25年10月12日・13日両日の開催で、しかも近世の天皇・朝廷研究に関する学会報告が予定された。当該研究が日本史研究会の近世のテーマになることは四半世紀無かったことである。したがって京都で開催される日本史研究会を舞台に、近世の天皇・朝廷研究者の意見交換・交流の場が形成されることから、そこに積極的に参加することにして、本年度は近世の天皇・朝廷研究大会の開催は見合わせることに討議の上で決定した。その結果、大会開催と大会成果報告集に掛る経費が削減されることから、平成25年度では、三重県津市一身田の高田専修寺門跡所蔵史料の調査に経費を厚くすることを計画する。継続して取り組んでいる専修寺調査は、折しも未整理史料の箱のうち、書状や一紙文書の束が満載されたものに当たっており、人数を多めにして整理し目録作成の必要がある。目録化されなければ写真撮影に入れず、史料保存や研究利用に差し支えることになる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
近世の天皇・朝廷研究に関する法令集を編纂する準備として、平成25年度も8月初旬に三重県津市一身田にある浄土真宗高田派本山の専修寺門跡の所蔵史料の調査を行い、あわせてマイクロカメラによる写真撮影を、代表者の勤務する学習院大学の大学院修了生や現役の後期課程・前期課程の大学院生の協力を得て、人員を掛けて実施する。
|