2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520829
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
高埜 利彦 学習院大学, 文学部, 教授 (90092254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 暁龍 桜美林大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30511852)
西村 慎太郎 国文学研究資料館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (90383546)
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Keywords | 日本史 / 近世史 / 天皇 / 朝廷 / 江戸幕府 |
Research Abstract |
平成25年度については、研究代表者高埜利彦が勤務先(学習院大学文学部)において1年間の国内外研修を行った関係と、全国学会である日本史研究会の大会(平成25年10月12日・13日)が開催され、四半世紀ぶりに近世の天皇・朝廷研究に関するシンポジウムが開かれたことから、例年の「近世の天皇・朝廷研究大会」を開催しなかった。その代わりに京都の「日本史研究会」に参加して、全国から参加した近世の天皇・朝廷研究者と意見交換や交流の場を形成することができた。 「近世の天皇・朝廷研究大会」を開催しなかったことで、大会経費と大会成果報告集に掛る経費が削減されたことから、平成25年度では例年実施してきた三重県津市一身田の高田専修寺門跡所蔵史料の調査の経費を厚くした。研究分担者の西村慎太郎のほかに助教小松賢司以下、学習院大学大学院人文科学研究科史学専攻の博士前期・後期課程の学生や国立公文書館専門官小宮山敏和など12名の参加者によって、高田専修寺の未整理史料の目録化の作業と写真撮影を行った。今回は、高田専修寺が本山として多くの末寺などを組織化するに際し、いかに問題解決に当たっていたか知りうる史料が含まれる。 また、これまでマイクロカメラで撮影してきた高田専修寺所蔵史料について、デジタル化の作業を進め、利用しやすくする態勢を整えた。デジタル化そのものは、保存のために益するものではないが、史料を画面やプリントアウトによって、大幅に利用しやすくなり、研究に益するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全国に散在する、近世の天皇・朝廷研究者たちとの交流促進については、「近世の天皇・朝廷研究大会」を開催できなかったが、京都で開催された「日本史研究会」において図ることができた。また、法令集編纂に資するための高田専修寺所蔵史料の調査と撮影は、多数の参加者の協力により大いに進展した。その上、これまでにマイクロカメラで撮影した史料を、マイクロフィルムからデジタル化することができ、当該史料を通しての研究が進めやすくなった。研究そのものは、膨大な史料からの解読と分析に時間をかけて進めるものであるが、そのための環境を整えることができたことは、成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度については、近世天皇・朝廷研究の基盤形成のために、「近世の天皇・朝廷研究大会」(通算第6回)を平成26年9月27日・28日両日にわたり学習院大学において開催する。すでに初日のシンポジウムは「近世後期と幕末の関白・天皇」のテーマで、二人の報告者、長坂良宏氏「近世後期の関白と天皇・院」・家近良樹氏「幕末期の朝廷について――何が言えるのか――」とコメンテーター箱石大氏が決まっている。二日目は自由論題研究発表を予定しており、報告者を募集し始めている。 合わせてこれまで同様に、大会成果報告集第6号を年度末の平成27年3月末に刊行するための作業を行う。昨年度は大会を開催しなかったため、大会成果報告集は第4号~第6号の3冊を、本研究事業中に刊行することになる。 近世の天皇・朝廷に関する史料集編纂については、そのためにも三重県津市一身田の浄土真宗高田派本山である専修寺門跡所蔵史料の整理と写真撮影を継続して実施する。なお、『近世の天皇・朝廷関係史料集』の刊行は、出版事情の厳しい現状において、出版社を探す努力をなお継続して進めるが、年度末までに刊行することは極めて困難な状況にあると認識される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は「近世の天皇・朝廷研究大会」を前述の理由から開催しなかった。そのため開催費用と大会成果報告集の刊行費用が削減された。そのため三重県津市一身田の高田専修寺門跡所蔵史料調査・写真撮影に多数の参加協力を得て成果を上げることができた。しかしながら、全体でみれば費用に残高が発生し、次年度使用額に充てることとなった。 次年度は、最終年度に当たり、「近世の天皇・朝廷研究大会」(第6回)を開催し大会成果報告集(第6号)を刊行する。また三重県津市高田専修寺所蔵史料調査についても実施するが、次年度使用額をも充てることで、参加者を増員して充実した成果を上げる予定である。
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