2013 Fiscal Year Research-status Report
近世瀬戸内の渡海船の研究―その存在形態と商品流通・旅客輸送に果たした役割の解明―
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23520846
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
中川 すがね 愛知学院大学, 文学部, 教授 (80227743)
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Keywords | 渡海船 / 瀬戸内 / 海運 / 湊 / 巡見使 |
Research Abstract |
交付申請書の研究実施計画に従って、瀬戸内地域の瀬戸内地域の渡海船の状況について、主として文献史料を基づいて調査・収集した。特に、寛文7年(1667)に将軍家綱が実施した海辺巡見使関連の記録である「海瀕舟行図」などの絵図、「西國海辺巡見記」「西海巡見」といった写本に注目し、東京の国文学研究資料館や神戸市立中央図書館で調査を行い、その成果をもとに「江戸前期瀬戸内東部の湊について」(『愛知学院大学文学部紀要』43号、2013年)という論文を執筆した。この論文には、寛文海辺巡見使に随行した大坂船手役人の衣斐蓋子の記録した、瀬戸内東部の諸湊の状況を示す一覧表を付録として付けている。論文で明らかにしたように公的な性格のものではなく、船手としての私的な関心から記されたものであるが、江戸前期の瀬戸内地域の湊の状況や渡海船の分布など多面的に知りうる史料であり、今後の瀬戸内地域の渡海船に関するデータベースの中核が作成できた。 一方、今年計画していた徳島・山口・高知などの現地調査は、文献調査が進まず、実施することができなかったために、今年度実施する必要がある。そのため、報告書の作成が遅れ、研究計画を1年延長して完成することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年4月に兵庫県にある甲子園大学から中部地域の愛知学院大学に異動したために、甲子園大学で備えていた海運関係の文献や大阪府・兵庫県の図書館等の書籍等を利用できなくなった。また瀬戸内沿岸から離れたために調査が難しくなった。この点はなかなか改善が難しいが、書籍の購入や遠隔地複写の利用により対応しつつある。 また昨年度は寛文海辺巡見使関連の史料整理と分析、論文執筆に集中したため、予定していた高知・山口・徳島県の現地調査ができなかった。全体として、十分な報告書作成ができないと考えられたため、研究計画の1年延長を申請し許可された。
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Strategy for Future Research Activity |
今年は最終年度であるため、残っている自治体史や史料集などの文献収集と徳島・山口といった瀬戸内沿岸の現地調査、史料収集を優先的に実施する。また渡海船のデータベースを昨年度作成した瀬戸内西部に加え、東部についても作成し、全体として寛文海辺巡見使以降の状況も加えて、整備する。その上で、瀬戸内の渡海船についてデータベースと論考から成る報告書を紙媒体ないしWEB上で公開する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予備的な文献調査の遅れから、予定していた徳島等の現地調査を行うことができず、旅費が支出されなかった。また研究計画の遅れから補助事業の延長を申請し承認されたことから、その他の費目の内報告書の印刷費が執行されず残されている。 今年度前半に文献調査と徳島等の現地調査を行うための旅費・複写費を支出し、後半に報告書を紙媒体ないしWEB上で公開する費用として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)