2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520847
|
Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
山内 晋次 神戸女子大学, 文学部, 教授 (20403024)
|
Keywords | 硫黄 / 火薬 / 火器 / 日宋貿易 / 日元貿易 / 日明貿易 / 日朝貿易 / ジャワ島 |
Research Abstract |
本研究課題の最終年度にあたる25年度は、24年度までの研究において不十分であった、東南アジア・南アジア・西アジア地域における硫黄の産出・流通に関するデータの収集に努めるという点を主目的のひとつとしていた。しかし、いくつかの新たなデータを見出したものの、当初予想したほどには収集作業が進まなかった。 また、硫黄がその原料として利用される火器の世界史的な伝播・拡散状況について、ヨーロッパ地域までを含めた世界史的視野で関連データを収集する予定であったが、この課題に関しても、とくに欧文文献の検索が思うように進まず、当初予定していたほどには成果が挙がらなかった。 ただ、以上のように諸データの収集が十分には進まなかった点はあるものの、新たに入手することができたいくつかのデータによって、24年度までの研究において仮説的に提示していた、10~16世紀のユーラシアにおける硫黄流通構造の変化と火器技術の拡散との連関性の見取り図を、より確かなものに近づけることはできたのではないかと思う。 本研究課題の遂行にあたって不可欠な現地調査については、宋代の中国にとって主要な硫黄輸入先のひとつと推定されるインドネシア・ジャワ島の硫黄産出状況に関する情報を収集する目的で、同島東部における硫黄鉱山の現況や、流通拠点と推定されるスラバヤ・トゥバンなどの交易港およびそれらの交易港を支配していたマジャパイト朝の首都遺跡などを踏査することができた。この結果、前近代のジャワ島における硫黄の生産とその対外交易に関して、若干の手掛かりを得ることができた。 本研究課題の成果の社会的な発信という点については、8月に札幌で開催された北海道の高校地歴科教員を対象とする講演会や、12月に韓国・木浦で開催された国際シンポジウムにおいて、これまでの研究成果の概要を報告した。
|
Research Products
(7 results)