2013 Fiscal Year Annual Research Report
西国巡礼者に関する基礎的データの整理と検討―一乗寺巡礼札のデータベース化―
Project/Area Number |
23520848
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
幡鎌 一弘 天理大学, 付置研究所, 教授 (50271424)
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Keywords | 巡礼 / 西国三十三所 / 納札 / 近世史 / 宗教史 / 民俗学 / 一乗寺 / 納経 |
Research Abstract |
平成25年度は、研究代表者は研究協力者とともに調書の校正を行い、これを完了させた。ただ、長期にわたって多くの人によって作業が行われていて、表現の不統一があったため、これを調整して、平成26年2月末にデータを完成させた。 データは、一乗寺本堂の解体修理後に復旧を予定していたB(この一部が天井に戻されている)、および壁面・柱などにあったA、稲城氏が整理し今回再調査した部分を(C1・2)、その追加分(C3)、別置されていたものをDとして整理した。 データ整理に時間がかかったため、統計的な分析は行えなかったが、一部のデータから西日本の主要な地域について検討を加えた。その結果、数多くの札を納めた長州藩(長門国・周防国)では、内陸の山口城下からの奉納があるものの、それ以外では、赤間関、萩城下(特に玉江浦・小畑浦)、その東側の須佐浦・益田浦が続く。長崎や瀬戸内沿いの因島・鞆あるいは塩飽島を加えると、多く納札が残る地域と日本海から瀬戸内を運航した北前船(西回り航路)と関係しているのではないかと推測できる。この新事実については、2013年12月に加西市中央公民館での歴史講座で発表し、加西市民に成果を還元した。 このほか、巡礼の母体である講の研究書である長谷部八朗著『「講」研究の可能性』について、今回の科研の分析を踏まえて書評を執筆した。 データ作成を完了したことにより、作成した調書の保管とデータの利用、公開について、一乗寺が所在し、調査の最初から支援を続けてきた加西市(教育委員会ほか)と今後について相談し、市に移管する方向で調整することになった。
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