2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520852
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
松田 利彦 国際日本文化研究センター, 研究部, 准教授 (50252408)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 日本史 / 軍 / 植民地 |
Research Abstract |
平成23年度における国内外の資料調査は以下の通りである。韓国(8月)調査においてソウル大学で日本統治期の雑誌・新聞・京城帝国大学関係資料などを調査した。台湾調査(11月)では、台湾大学・中央図書館台湾分館などで、大学関係文書、植民地期の雑誌・新聞の調査を行った。また、福岡の調査(9月)では、九州大学・九州歴史資料館で朝鮮駐箚軍関係刊行物・写真集・個人文書を収集し、第78聯隊関連史跡を調査した。岡山大学での調査(1月)では軍陣医学に関する資料を調査した。8回にわたる東京での調査では、国会図書館憲政資料室・国立公文書館などを中心として、明石元二郎・立花小一郎などの朝鮮支配に関わった陸軍高級将校の個人文書の調査に重点を置いた。 また、文献購入としては『桂太郎日記』『上原勇作日記』など基本資料の復刻が相次いだので、購入に努めた。 成果物としては、「総力戦体制の形成と展開」(趙景達編『植民地朝鮮 その現実と解放への道』東京堂出版、2011年9月、210~232頁)、「植民地警察はいかにして生みだされたか―日本の朝鮮侵略と警察」(林田敏子・大日方純夫編『近代ヨーロッパの探究13 警察』ミネルヴァ書房、2012年1月、369~416頁)などを論文として発表した。また、「植民地帝国の中の地域社会:朝鮮史研究における成果と課題」(国際日本文化研究センター国際研究集会「植民地帝国日本における支配と地域社会」における基調報告、2011年7月14日、国際日本文化研究センター(京都市西京区)にて行う)、「比較植民地大学史の可能性/不可能性」(国際日本文化研究センター国際研究集会「帝国と高等教育―東アジアの文脈から」における報告、2012年2月11日、国際日本文化研究センター(京都市西京区)にて行う)などの口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、科学研究費「植民地大学の総合的研究」(分担者)や日文研共同研究「植民地帝国日本における支配と地域社会」などのとりまとめに多くの時間を費やさねばならず、「日本の朝鮮植民地統治と軍」の基礎調査に割ける時間は限られた。特に海外調査では、本来予定していた米国・中国等での調査は翌年度に繰り越しとなった。 ただし上記研究の過程においても、「日本の朝鮮植民地統治と軍」に関連する有用な資料を得ることはでき、韓国植民地化過程における日本軍の役割については成果を発表できる見通しが立ち、また1910年代~1920年代の朝鮮軍の動向についての基礎資料も寺内正毅・明石元二郎・立花小一郎・野田卯太郎などの個人文書から必要な文書・書簡をほぼ収集した。
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Strategy for Future Research Activity |
陸上自衛隊衛生学校所管・彰古館茨城県の霞ヶ浦駐屯地広報センター・三重県の明野駐屯地など自衛隊所管の資料館での調査を進める計画である。仙台市博物館に朝鮮軍司令官をつとめた松川敏胤の関係文書が所蔵されているとの情報を得たので調査を行う。また、奈良県立図書情報館所蔵「戦争文庫」で、植民地期朝鮮の在住日本人の手記を探索したいと考えている。 海外では、韓国での調査を2~3回行う予定であり、国立中央図書館・ソウル大学・国史編纂委員会などで資料収集を進め、羅州・麗水など地方での調査も組みこむ計画である。また、朝鮮民主主義人民共和国が日本からの学術調査団を受け入れる意向をもっているので参加する予定である。米国にて、ワシントンNARAを中心に、朝鮮に関わりをもった日本軍関係者の資料を調査を予定しているが、非公開扱いになっている文書も含まれているので公開申請の手順を踏んでから調査可能かどうか判断することになる。また中国遼寧省档案館または海南島档案館にも関連資料が存在するとの情報を得ているが、閲覧許可が下りるようであれば調査を進めたい。 調査とともにデータの入力・整理、論文の作成も進めていく。6月には、「韓国併合」以前の朝鮮駐屯日本軍についての研究発表を韓国・高麗大学で行うことになっている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内旅費は東京・仙台・奈良などの調査に充当し、複写費用も主にこれらの機関での資料複写のために使用する。海外旅費は韓国・朝鮮民主主義人民共和国・アメリカ・中国などでの調査に使用する。また、現地での迅速なデータ整理のためパソコンPanasonic・CF-J10WYBHRを購入する予定である。この他、研究テーマに関わる基礎資料集や研究書が刊行された場合はその都度購入していく。
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Research Products
(5 results)