2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520855
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Research Institution | Osaka City Cultural Properties Association |
Principal Investigator |
八木 滋 (財)大阪市博物館協会, 大阪歴史博物館, 学芸員 (70311446)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 両替商 / 銭屋佐兵衛 / 明礬 / 安井家文書 |
Research Abstract |
研究基盤確立のために、近世大坂の両替商に関する史料調査および図書の購入を行った。 千草屋宗十郎(平瀬家)文書については、研究補助者も雇用し、約3,200点(経営関係1,700点、文化・社会関係1,500点)の史料リストを作成した。とくに経営関係の史料については、整理とリスト作りが終了した。 銭屋佐兵衛(逸身家)文書を東京大学より大阪歴史博物館に寄託替えし、研究を進めた。とくに、銭屋佐兵衛が関わっていた熊本藩の明礬流通に関する史料分析および熊本やそれに関連する別府での明礬生産・流通に関する関連史料を収集した。また、逸身家の家系に関する史料や土地所有にかかる史料を収集した。銭屋佐兵衛家全体については、研究会を開催して、外部研究者から、逸身家の家族関係や別家手代などとの関係、経営全般や大名貸や公債の処理など推移などについての知見を得た。 また、大坂三郷南組惣年寄安井家に関する新出史料を発見し、調査を行った。これは17世紀の都市開発にかかわる史料を多数含んでおり、17世紀段階での豪商や両替商を含む商人層の動向を知る上で貴重な史料である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始はやや出遅れたものの、その後は順調に進展している。平瀬家の史料整理も順調に進んでおり、逸身家関係の調査でも関連資料を収集し、次年度以降の研究基盤を整備することができた。また、当初は想定外の新出史料も発見し、新たな展開も予想されるので、史料分析に勤めたい。その一方、その他の両替商の調査はあまり進展しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究補助者が得られやすい、8~9月、1~3月に重点的に平瀬家文書を中心に史料整理を実施する。他の業務との兼ね合いから、秋以降は十分時間が取れるので、今年度・次年度の成果をもとに、逸身家や平瀬家の史料分析を進める予定である。その他の両替商の調査にも夏までの早い段階で着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度使用しなかった研究費については、史料整理を促進するための研究補助者への人件費や新出史料の調査費に充当する。次年度全体としては、関連図書の購入費、各種史料調査および関連テーマを扱った学会への出席のための旅費、史料整理(おもに平瀬家)のための研究補助者の人件費、資料の複写費などに使用する予定である。
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