2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520858
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 勝芳 東北大学, 東北アジア研究センター, 名誉教授 (20002553)
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Keywords | 工藤忠関係資料 / 東北アジア近代史 / 第二革命・第三革命 / 白狼軍 / 東亜同文会 / 甘粛省 |
Research Abstract |
本研究は、20世紀前半東北アジア近代史の重大事件の多くに関わった工藤忠(初名鉄三郎)が残した各種資料(「工藤忠関係資料」と呼ぶ)の研究を進めて、東北アジア近代史研究の史料として公表し活用することが主要な目的であり、同時に工藤が関わった各種事件の考察も行おうとするものである。前年度までに、特に1910年代に関わる諸資料を中心として研究を展開してきたが、最終年度である今年度は工藤の関わった第二革命、第三革命、及び1920年代初頭の第三回甘粛旅行における東亜同文会の辺境通信員制度と工藤の商業活動に関わる問題点の掘り下げを行い、同時に各種資料の著録作業を推進した。第三革命発端期の上海からの工藤報告の史料としての重要性、従来あまり言及されてこなかった東亜同文会の辺境通信員制度の問題についてその全体像を提示できたこと、また工藤が進めた商業活動の中で関わった日支合弁銀行の大東銀行の問題を浮かび上がらせることもできた。さらに、著録作業においては、歴史地理的考察を不可欠とする事柄が多く困難を伴ったが、第二回甘粛旅行の記録である「第二回甘粛旅行日誌」の著録や工藤の商業活動に関する諸資料の著録を終えることができた。商業活動の中では工藤が残した北京から蘭州までの諸費用記載メモ「支出簿」が、蘭州での銀行開設、寧夏での洋行開設に関わる当該地の最高権力者や有力者たちの招待などその設置における具体的諸状況がわかる貴重なものであることを明示できた。そして、それら成果の全体をA4版全340頁の大部の研究成果報告書『「工藤忠関係資料」による東北アジア近代史研究』として印刷製本して、東北アジア近代史関係研究者・大学・図書館などにすでに送付し終えており、1910年代から1920年代初頭に関わる貴重な「工藤忠関係資料」を研究に利用できる史料として広く公開し、新知見も呈示できた。
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Research Products
(2 results)