2012 Fiscal Year Research-status Report
出土文字・発掘資料による秦王朝各地方における禁苑の分布・構造及び意義に関する研究
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23520865
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
馬 彪 山口大学, 人文学部, 教授 (20346539)
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Keywords | 始皇帝 / 禁苑 / 巡行 / 燕斉 / 山東 / 遼寧考古研究所 / 沙丘 / 祭祀址 |
Research Abstract |
H24年度は本研究を実施する二年目であり、昨年の調査と研究から得た最も重要な成果とは、その秦帝国における典型的な禁苑の2つのモデルを定めた。モデルI型は近畿にある都に近づく禁苑群とモデルII型とは新たな都ができたあと、旧都の宮殿は禁苑や離宮となり、皇帝の巡行沿線に建築した行宮群という二つの特徴たる禁苑の具体像が明らかにした基礎によって、一年間の踏査と研究とも順調に行った。 H24年度には大きくは渤海湾禁苑遺跡と山東半島禁苑群、いわゆる黄河流域の下流域における旧六国の趙国・燕国(今日の河北省・遼寧省)・斉国・魯国(今日の山東省・江蘇省)など旧禁苑と始皇帝が巡行した遺跡を踏査したことができた。踏査は現地の考古学専門家の協力を得て、極めて順調に行った。 (一)燕斉の沿海禁苑は、従来、渤海湾の一帯に関する文献史料や伝説を利用してきてもその地域の禁苑に対する研究がなぜ進まない一つの理由は資料が足りないことにある。幸いに、近年その地域で秦時代の建築遺跡が多数発見され、それらの現場の踏査や資料の利用は本研究計画の重要な一要素となる。故にH24年に遼寧考古研究所華玉氷副所長の協力より実地踏査を行った。踏査は二回にわたって以下の三ヶ所を調べた。 (二)山東半島禁苑への踏査と研究。私は『史記』秦始皇本紀や封禅書によって「按図索驥」(駿馬の図を頼りに良馬を探し求める)して、以下のように山東半島とその周辺にある9ヶ所の遺跡を訪ねた。それは始皇帝の泰山で「望祭山川」という場所の踏査・煙台莱州市三山島陰主祠・廟周家月主祠始皇帝行幸地踏査・芝罘島における陽主廟の踏査・成山頭日主祠始皇廟遺址・四時主琅邪台遺址・徐州秦梁洪・天齊淵の天神祭祀址・邢台・沙丘平台遺址などである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの2年間における調査と研究はほぼ計画したとおり、目標を達成しました。少し反省する点は昨年度にAO入試委員長となって夏休み期間内の調査は多少遅く、また短縮したところがあり、それは今年度に補足できるように意識して行うようになる。 全般的にいうと、本研究の計画したとき秦式の典型的な禁苑群を原点として、H24年度の調査と研究はその「点」からいくつの「線」まで展開していたのは違いない。これによってH25年度に予定する「面」までの順によって秦地における禁苑群の実像について史的な研究を実現することを一層確保したとも言えよう。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度に計画とおり、秦地禁苑の踏査・研究から得たモデルによって、関東と江南地域における禁苑についての研究は特に出土文字や発掘資料を有効に利用する計画を立ち上げたいと考えている。なお、H23年度科研費の未使用額の発生した経緯について、当初に予想しなかったAO入試委員長を務め、夏休みの仕事が多くなって、計画した夏の海外調査を減らしたので、その分の金額はH25年度の海外調査に使用するようになった。 海外調査について、最終年度には江南地方を中心して旧六国に所属した禁苑遺跡を踏査する予定である。統一秦の前における旧楚・呉越地の禁苑は史書以外にも記事が少なくない。例えば『墨子』に「楚之有雲夢(苑)也。此男女之所屬而觀也」とあるが、「雲夢(苑)」の場所は全く確定できない。ただ龍崗秦簡に「雲夢禁中」とあり、張家山漢簡「津関令」に「雲夢附竇園一所在朐忍界中」と書かれている出土文字資料が発見された。木簡の出土地での実地踏査を実施しながら雲夢禁苑の場所を確定し、それらの構造的な検討へと進みたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用金額が生じる理由については、基本的に当初に計画したとおり、海外(中国)と国内における出張の費用、また最終年度の報告書を作成する費用が必要となる。1国内外の旅費は、本研究においては、国内旅費および海外旅費を必要とするが、それは本研究の特徴が研究代表者による毎年夏・春休み集中して行う海外調査にあり、そのための滞在費を計上しているからである。また国内旅費は年一回(他大学での資料収集と協力研究者との検討会)、一回一泊二日を原則としての旅費である。 2 謝金とその他の費用は、海外協力者側の案内費用(以前要らなかったが近年にそうなっている)と当地での出土品の借り出し料のためである。これによって、発掘現場の人間との協力関係を結び日中研究者が一体となって進める本研究の特徴を生み出すことができる。 3 本研究の最終年度であるので報告書について、その制成の費用となることと、その内容の検討するため発生する日本国内における専門家への謝金などが必要である。
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Research Products
(9 results)