2012 Fiscal Year Research-status Report
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23520880
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Research Institution | Niigata University of International and Information Studies |
Principal Investigator |
小林 元裕 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 教授 (80339936)
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Keywords | 東京裁判 |
Research Abstract |
第2年度は、当初、東京裁判で判事を務めた梅汝ゴウや検察官を務めた向哲濬の資料を保存していると考えられる中国第二歴史档案館での資料収集を予定していたため、関係者を通じて同档案館の閲覧を申し込んだところ許可が下りなかったため、前年度に資料を収集仕切れなかった台湾国史館での資料調査及び収集を継続した。 今回は前年度に存在を確認したものの閲覧、収集にまでいたらなかった中国国民政府外交部の『聯合国戦罪委員会遠東及太平洋分会』(一)~(三)に収録された資料内容を確認し、初年度に購入した『連合国戦争犯罪委員会』全15巻(現代史料出版)に収録されていない資料を収集した。これらの他には中国駐日代表団関係の資料を調べ、日本の主要戦犯への尋問を外交部、国防部に報告していた駐日代表団第一組の報告書『駐日代表団第一組工作報告』を中心に閲覧、収集した。 なお今回収集を予定していた『亜東司毎週工作報告』や『亜東司毎月工作報告』は時間の関係で閲覧できず、あと数回、資料収集を國史館で行う可能性が出てきた。 第2年度に資料収集以上に収穫だったのは、現在、台湾で連合国の戦犯裁判政策を研究し「聯合国戦罪審査委員会與中国戦罪政策的発展,1942-1945」等の論文を発表している輔仁大学歴史学系助理教授の蕭道中先生に面会し、東京裁判研究に関する情報や意見交換ができたことである。蕭先生からは、國史館にない資料がアメリカのナショナルアーカイブにある可能性を示唆され、アメリカでの資料収集の必要性を再確認した次第である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
まず第一に、当初予定していた中国第二歴史档案館での資料収集が先方の都合により実行できなかったことである。これはある程度予想していたが、もっとも核心的な資料を所蔵していると考えられる第二歴史档案館での資料発掘ができなかったのはたいへん悔やまれる。 第二に、勤務校において今年度から教務担当の委員長(学習指導委員長)を任され、学内業務に割かれる時間が増加したこと、そして、第三に、これは極めて個人的な理由であるが、母親(85歳)の介護のために週末の時間が研究に使えなかったことである。 とくに最後に掲げた理由のために長期の海外出張がかなり難しくなり、今年度は資料閲覧・収集が中途半端に終わってしまった。また資料を収集してもそれを分析する時間が確保できず、極めて不本意な状態といわざるをえない。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である次年度は研究成果をまとめるために次の計画を実行したい。 第一は、今年度、台湾において蕭道中輔仁大学歴史学系助理教授から示唆されたアメリカナショナルアーカイブにおける資料収集である。もっとも「現在までの達成度」で記したように母親の健康状態によって海外出張の期間が限定される可能性が大きいので、その際は短期間の台湾出張を複数回行い、資料の発掘と収集をさらに充実させたい。 第二は、2013年11月に中国上海交通大学で東京裁判に関するシンポジウムが開催される予定であり、私もこれに参加し報告することになったので、不充分なかたちではあるが、最終的な展望を示すような成果をまとめたい。 第三は、上記のシンポジウムが開催される上海交通大学には「東京裁判研究センター(東京審判研究中心)」が設立され、中国大陸における東京裁判研究の中核となっているので、そこでの研究者及びシンポジウムに参加する他国の研究者と交流、意見交換して研究成果の質を高めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「今後の研究の推進方策」に記した計画を実行するために、次のように研究費を使用する。 第一は、資料収集のための海外出張費として使用する(70万円)。 第二は、2013年11月に中国上海交通大学で開催される国際シンポジウム参加のための出張費として使用する(20万円)。 第三は、資料収集の際のコピー代及び、文献資料の購入費として使用する(21万円)。
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