2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520884
|
Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
伍 躍 大阪経済法科大学, 法学部, 教授 (60351681)
|
Keywords | 国際情報交換 / 東洋史 / 中国史 / 科挙 / 官僚 / 社会史 / 捐納 / 同官録 |
Research Abstract |
本研究の意義は、これまでほとんど利用されていない前近代中国の官僚の個人履歴集である「同官録」を収集して目録を作成し、その内容をデータベース化することを通じて、前近代中国社会における官僚社会の実態、つまり官僚たちを取り巻く社会環境および官僚 の登用や昇進などを含む人間の社会移動(social mobility)の実態を明らかにすることにある。 本研究の第三年度にあたる平成25年度では、これまでの調査から得た書誌情報をもとに、日本国内の蔵書機構と海外、とりわけ中国の上海図書館などを中心に前近代中国の官僚の個人履歴集である「同官録」の所蔵状況を補足的に調査し、日本国内や中国・台湾・欧米の主要な蔵書機構が所蔵している「同官録」の目録を収録する「清代同官録簡目」を作成した。こうした作業をもとに、研究を行い、主に以下の成果を得られた。 ①「同官録」の起源については、少なくとも秦の始皇帝による中国統一以前に遡ることができた。司馬遷の『史記』に記載されている中国統一以前の秦国の「宦籍」というのがその雛形的な存在である。そして、これまで発見されたもっとも古い官僚名簿として、いわゆる「尹湾漢簡」のなかにある前漢王朝成帝年間(BC32-8)に形成したとされる「東海郡吏員簿」などが挙げられよう。 ②「同官録」の役割は、「縦」の人事秩序と「横」の人間関係を構築することを通して、自律的な官僚社会を形成させようとする、というところにある。 ③清末江南地方の代表的な同官録に収録している官僚履歴を抽出し、分析を行った。その結果、現職の官僚を含む清末の人々が身分を向上させるために、科挙制度と捐納制度を利用した実態を数値的に説明することができた。なお、官僚出身資格の比較研究の観点から、明末に編纂された『分省撫按縉紳便覧』に収録している崇禎十五年(1642)の知州知県の出身資格を分析した。
|
Research Products
(4 results)