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2012 Fiscal Year Research-status Report

ハプスブルク君主国における宗教の地域形成機能に関する研究

Research Project

Project/Area Number 23520887
Research InstitutionJosai University

Principal Investigator

飯尾 唯紀  城西大学, 公私立大学の部局等, 助教 (80431352)

Keywordsハプスブルク君主国 / ハンガリー / 改革派 / 福音派 / カトリック / 地域社会 / 秩序形成
Research Abstract

2年目にあたる当該年度には、初年度に実施した研究状況の整理と資料状況調査にもとづき、現地での史料収集と分析を集中的に実施した。
本研究は、18世紀のハプスブルク君主国東部における宗教の地域形成機能を明らかにするという目的のもと、①君主の統治における宗教政策の位置づけと、②地域社会における諸教会の社会的活動の両面について分析を進めるものである。本年度の調査では、地方社会の宗教状況を把握し、地方からの訴状を統治者へと媒介していた「宗教エージェント局」の史料群を中心に調査、分析をおこなった。昨年の調査の結果、この史料群は、①と②の主題を分析するための最適の史料であることが確認されたためである。
「宗教エージェント局」は、統治者と地方社会との間にあって宗教問題に関する中心的な情報集積センターとなっていた。また、同局は単なる情報収集にとどまらず、オスマン朝のヨーロッパ撤退という権力空白のなかで宗派や民族集団が混在する社会を再建していく際、中央と地方、カトリックとプロテスタントの間で重要な利害調整機能を果たしていたと考えられる。こうした「宗教エージェント局」が統治の安定化と秩序形成に果たした重要性は、かつてハプスブルク君主国を構成した諸国家の研究においてはほとんど認識されておらず、またその膨大な史料群も断片的にしか利用されていない。それゆえ、この史料群を用いて研究をさらに進めることで、国際的発信に値する新たな知見が得られるものと見込まれる。
なお、初年度に実施した研究状況の整理と史料調査の成果の一部は、昨年度から本年度にかけて国内の学会、研究会でそれぞれ報告し、本年度にはそれをもとにした原稿を雑誌論文として発表した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究では、初年度から2年度までに研究動向の整理と把握、史料状況の調査と史料分析を行うことを目標のひとつとしたが、これについてはほぼ予定通りに進めることができた。また、その成果の一部を発表することもできた。なお、史料調査の過程で、本研究の遂行にとって最適となる史料群を発見することができた。以上から、現在までに当初の研究計画に沿って本研究を遂行するための見通しをつけることができた。
ただし、今回確認した史料群は内容が豊かであるだけでなく量的にも膨大であるため、その体系的分析には、当初想定した以上の時間が必要となることが判明した。もっとも、これについては次年度に集中的に史料収集、分析を進めることで、対処可能と判断している。また、研究動向を整理した結果、当該研究が現地における研究がきわめて手薄な領域に属することも判明した。このためいくつかの予備的研究を発表することが必要と判断されたが、これについても現在発表へ向けた執筆を進めており、研究計画の遂行に大きな障害となるものではないと判断している。

Strategy for Future Research Activity

本研究課題の最終年度にあたる次年度には、収集した史料の分析を進めつつ、これまでの研究結果の取りまとめを行う。また、近世ヨーロッパにおける宗教の地域形成機能を地域比較し、ハプスブルク君主国の政治社会の特質を把握するためのモデル化をも試みる。
この研究成果の取りまとめと並行して、本研究を通じて重要性を発見することができた「宗教エージェント局」について、更に情報を収集し、またその豊富な史料群の体系的分析にとり組む。なお、これら研究成果については、国内外の学会、研究会での発表、成果公表を行っていく予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

引き続き現地での史料調査や研究会報告を行うため、2度の国外旅費支出を予定している。また、国内学会での発表のため、2度の国内旅費の支出も予定している。
物品費としては、近世史及び宗教史の関連書籍およびデータベースの購入のほか、史料整理、論文作成支援のためのソフトウェアの購入を予定している。
その他、論文の外国語での発表のためのネイティブチェック等への謝金支出、史料の国内送付のための郵送料、複写費等の支出も見込んでいる。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012 Other

All Journal Article (1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] 近世ハンガリー王国再統合期における所領と教会2012

    • Author(s)
      飯尾唯紀
    • Journal Title

      西洋史研究

      Volume: 41号 Pages: 192 203

  • [Presentation] 「『総覧 東欧ロシア史学史』について-国民史学形成の比較史」

    • Author(s)
      飯尾唯紀
    • Organizer
      日本西洋史学会
    • Place of Presentation
      明治大学
  • [Presentation] Religious factor in the relationship between Slovakia and Hungary

    • Author(s)
      IIO Tadaki
    • Organizer
      Inernational Workshop on 'Transboundary symbiosis over the Danube'
    • Place of Presentation
      Slovakia

URL: 

Published: 2014-07-24  

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