2013 Fiscal Year Research-status Report
イギリスにおける反アパルトヘイト市民運動と反人種主義規範の広がり
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23520888
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
浜井 祐三子 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (90313171)
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Keywords | イギリス / 現代史 / 反人種差別主義 / 移民 / アパルトヘイト / 市民運動 |
Research Abstract |
本研究課題は、1950-70年代のイギリスにかつての植民地から移民が流入した結果、「人種問題」への意識が高まり、「反人種差別」の規範が社会に根付く過程と、ほぼ同時期に大きな盛り上がりを見せたイギリスにおける南アフリカのアパルトヘイトに反対する市民・政治運動の関わりを明らかにしようとするものである。これまでの資料調査では、イギリスの「反アパルトヘイト運動(Anti-Apartheid Movement, AAM)」のニューズレターの分析などを通じて、イギリスにおける反人種主義運動において一定の役割を担った「白人」リベラルの人々が、「反アパルトヘイト運動」において中心的な役割を担った人々と人的にオーバーラップすることが指摘できる一方で、AAMにおいては、常に人種的なマイノリティの人々との協調が欠けていたこと(そして、それが団体内部でも問題視されていたこと)がわかってきている。今年度は、労働党左派の議員であり、1950年代後半に議会に人種差別禁止法案の導入を9度に渡って試み、その一方で反アパルトヘイト運動にも関わっていたフェナー・ブロックウェイ(Fenner Brockway)の1950年代から60年代の運動に関する発表を韓国で行ったが、その中で、彼のような「白人」左派リベラルであり、反植民地主義運動の活動家であった人物の活動において、イギリスの法的な枠組みの中に反人種主義の規範が位置づけられることと、反アパルトヘイト運動のような国際的な反人種差別運動が深く関連し合うものとして認識されていたことを示すことができた。 今後はさらに、イギリスにおける反アパルトヘイト運動が国内の人種的マイノリティによる反人種差別運動をなぜ効果的に協調へと組み入れることが困難であったか、という点について検証を深めていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は学会での関連発表も行い、成果を論文としてまとめる段階へと順調に推移しているように思われる。2月には再度イギリスでの調査も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である本年度は研究の最終段階である成果発表を行い、またさらなる研究へとつなげていくための重要な年度であると位置づけ、最終の資料収集および、論文の執筆などに当たりたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度において予定していた国内出張が2014年度に一つ延期になったため。 2014年度にその国内出張を行うことで使用したいと考えている。
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Research Products
(2 results)