2012 Fiscal Year Research-status Report
『レヴォルト・ロジック』期前後のジャック・ランシエール
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23520894
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
福島 知己 一橋大学, 社会科学古典資料センター, 助手 (30377064)
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Keywords | 労働運動史 / 現代史 / 一九世紀史 / 歴史理論 / フランス |
Research Abstract |
平成24年度はランシエールの著作『プロレタリアたちの夜』『歴史の名前』の内容分析を中心に、『労働の言葉』『哲学者とその貧民たち』など前後して出版されたランシエールの著作や、『レヴォルト・ロジック』の諸論文との比較を行った。またランシエールによる労働運動史的著作の独自性について研究状況を吟味するとともに、同時代的状況についても調査を進めた。 2度にわたるフランスへの調査旅行を通じて、ランシエールが『プロレタリアたちの夜』執筆にあたって利用した文献の調査と、『レヴォルト・ロジック』寄稿者へのインタビューを行った。 稀覯文献の調査では、実物資料と引用された文章との比較を通じて、ランシエールによる資料組織化の実際について有益な洞察を得ることができた。 インタビューでは、『レヴォルト・ロジック』の研究プログラムがどのようなものであり、当時の参加者の問題意識がどのようなものであったのかを知ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に行う予定になっていた研究状況の整理、テキスト分析および国内外の研究者へのインタビューは、おおむね順調に進展している。 『プロレタリアたちの夜』『レヴォルト・ロジック』の内容分析や、前後して出版されたランシエールの著作との比較を継続して行っている。 また稀覯文献の調査と研究者へのインタビューを通じて、当時の状況やランシエールの研究手法について有益な示唆を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
『プロレタリアたちの夜』『歴史の名前』『レヴォルト・ロジック』の内容分析を継続して行うとともに、『労働の言葉』『哲学者とその貧民たち』『庶民哲学者ゴニー』など前後して出版されたランシエールの著作との比較を試みる。 国内外の研究者へのインタビューや、当時発行されていた他の学術雑誌との比較を通じて、『レヴォルト・ロジック』の研究プログラムの独自性を把握する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度にフランスへの調査旅行を行う。調査旅行において、ランシエールの著作で言及されている資料について文書館で内容を確認するとともに、同時代的に出版されていた稀覯な学術雑誌を調査・収集する。また『レヴォルト・ロジック』に寄稿した研究者にインタビューを行う。 旅費が想定を下回ったために次年度使用額が生じたが、平成25年度に行う予定にしている調査旅行を充実させる経費としたい。
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