2012 Fiscal Year Research-status Report
第三共和政前期のパリにおける同郷集団と選挙についての実証的研究
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23520900
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
長井 伸仁 上智大学, 文学部, 准教授 (10322190)
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Keywords | フランス / 移住 / 都市 / 同郷会 / 選挙 / 近代史 / 現代史 / 西洋史 |
Research Abstract |
昨年度は、研究課題に関連する先行研究を歴史学のほか社会学なども含めて把握し、そのうえで、パリ警視庁文書館およびフランス国立図書館で史料収集をおこなった。このとき収集した史料は、第三共和政前期(1870-1914年)にパリ第5区・11区・14区でおこなわれた選挙のポスター・ビラ類、警察による選挙運動監視報告、および諸同郷会が刊行する新聞・会報類であった。 本年度は、昨年度に引きつづき関連分野の研究書を閲覧して先行研究を整理したほか、いくつかの新聞をオンライン上で閲覧した。ただ、同郷会の選挙への関与が史料からはさほど浮かび上がってこなかった。理由として、サンプルにした地域が不十分であった可能性がある。この点については、本年度に史料調査をおこない対象地域を広げることで確認する予定であったが、史料調査は来年度に実施することになった。もうひとつ、そもそも同郷会の政治活動が活発ではなかった可能性もある。この場合、先行研究で取り上げられたオーヴェルニュ出身者やリムーザン出身者の事例がむしろ例外的だったということになる。ただ、地方出身者がパリで市議会議員に当選し、そののち国政に転出した事例が多いことはたしかである。同郷会が選挙にさほど関与しなかったとすれば、議員はパリ選挙区の利害を代表する議員として国政に関わったこと、一方、同郷会はもっぱら親睦・互助活動をおもな目的にしていたことが想定できる。 これらの点を、最終年度である次年度に明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」でも述べた通り、現時点では史料調査の結果が量的にみてやや少なく、この点の改善が望まれる。前回の調査が地域的にかなり限定されたものであったため、25年度の夏期に、同様の史料について地理的範囲を広げて調査をおこなうことで、目的を達成できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記「研究実績の概要」および「現在までの達成度」にも記した通り、研究の方向性そのものは妥当であると考えられる。次年度は、これまで同様の史料について、地理的な範囲を広げて調査をおこない、それを分析することで目的を達成できると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度への繰越額の発生は、第2回目の史料調査を24年度に実施しなかったことが主な理由である。この史料調査は25年度夏の早い段階に実施する。繰越額については、その際の旅費に充てる予定である。
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