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2012 Fiscal Year Research-status Report

中世フランス都市家屋の構造・建築様式・分布に関する歴史考古学的研究

Research Project

Project/Area Number 23520910
Research InstitutionWaseda University

Principal Investigator

堀越 宏一  早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (20255194)

Keywords中世ヨーロッパ / 都市 / 家屋 / ロマネスク / ゴシック
Research Abstract

平成24年度には、前年度同様、先行研究と現地情報の収集に努めると同時に、フランス文化省編集の歴史的建造物関連のデータ・ベース(メリメ)を活用することにより、各都市の中世家屋の個別情報を網羅的に調査・把握したうえで、サンチャゴ巡礼路の通るフランス南西部とラングドック地方、プロヴァンス地方西部の現地調査を行うことを中心的作業とした。その結果、当該地域に現存する中世町家について、相当程度把握することが出来たと考えている。
現地調査としては、全日程9月6日~21日で、まず、ナンシー第二大学中世考古学研究所を訪問して、P. Corbet 教授、G. Giuliato 教授、M. Bur 名誉教授らに、最近のフランス中世考古学界の状況についてインタビューを行った。
その後、サンチャゴ巡礼路が展開するフランス中南部とラングドック地方、プロヴァンス地方西部の諸都市に残存する中世都市家屋に関する現地調査を行った。
このなかでは、カオールとサン=アントナン=ノーブル=ヴァルに13世紀頃の比較的早い時期の都市家屋が残されていたが、14世紀以降のゴシック式の町家が大部分を占めた。そこでは、フィジャック、サン=アントナン=ノーブル=ヴァル、ケイリュス、コルドを中心として、現在でも尖頭アーチの開口部を持つ中世の店舗兼住宅建物が軒を連ねている街路が幾つも現存していることを確認した。調査と記録の方法としては、写真とビデオを用いたが、今後は、建築学的図面を取ることも視野に入れて調査を進める必要があることを痛感した。
さらに、フランス南西部に点在するバスティドと呼ばれる防備小都市として、ドム、モンパジエ、モンフランカンなどを観察することも出来た。広場に面したアーケードを備えた建物の多くは14~15世紀に遡るものであり、広場と道路との配置の関係も含めて、ほかの中世都市にはない都市機能を知ることが出来た。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

歴史的建造物関連のデータ・ベース(メリメ)を中心とした中世都市家屋に関する情報収集とフランス中南部とラングドック地方、プロヴァンス地方西部の諸都市(ペリグー、カオール、フィジャック、サン=アントナン=ノーブル=ヴァル、ケイリュス、コルド、サン=ギレム、モンプリエなど)における中世都市家屋の現地調査については、予定通りの作業を進めることが出来た。
しかし、可能ならば、クリュニーとその所在地であるブルゴーニュ地方の諸都市(シュノーヴ、パレ=ル=モニアル、トゥルニュス、シャニィ、フラヴィニィ、ヴィトーなど)の中世家屋を対象とした現地調査を行うことを計画していたが、学務が忙しく、2012年度にも実現することがかなわなかった。

Strategy for Future Research Activity

3年間を通した基本的な研究方法に変更はない。すなわち、刊行されている発掘報告書や研究書を収集し、その整理と理解に努めることを前提として、(1)まず、フランス文化省編集の歴史的建造物関連のデータ・ベース(メリメ)を利用することにより、各都市の中世家屋の個別情報を網羅的に調査・把握する。
(2)そのうえで現地に残存する建物と博物館などを実地調査して、先行研究、データ・ベースに記載されている建築的ないし考古学的情報の総合的理解を得る。
(3)さらに、現地の県古文書館と図書館に所蔵されている古文書や絵図、地籍簿などの図面を調査して、図像史料も含めた文献史料を調査・把握する。
(4)これらの地域以外の地域(フランスの他の地方、イングランド、スペイン、イタリア)に残存する中世都市家屋の状況を調査・把握して、フランスに限定されていた情報の拡大を図ると同時に、比較史的な検討対象とする。
これらの作業全体を通じて、ブルゴーニュ地方とフランス中南部、ラングドック地方、プロヴァンス地方西部に残されている「クリュニー型中世町家」の構造と機能の特徴、その歴史的変遷と地理的分布を解明することが可能となるであろう。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

研究第3年次である平成25年度には、前年度と同様の事前準備を継続的に行ったのちに、9月に、再度、サンチャゴ巡礼路が展開するフランス中南部の諸都市(コルド、トゥールーズなど)の中世家屋に関する現地調査(建物に関する現地調査と図書館・古文書館における調査)を行う。さらに、サンチャゴ巡礼路が部分的に展開していた南仏ラングドック地方とプロヴァンス地方の諸都市(アルル、サン=ジルなど)とともに、作年度までに行えなかった、クリュニーとその所在地であるブルゴーニュ地方の諸都市(シュノーヴ、パレ=ル=モニアル、トゥルニュス、シャニィ、フラヴィニィ、ヴィトーなど)の中世家屋に関する現地調査を行う。
そのための準備作業として、歴史的建造物関連のデータ・ベース(メリメ)を利用することにより、各都市の中世家屋の個別情報を網羅的に調査・把握することは言うまでもない。
年度後半には、これまでの現地調査で得られた情報を整理して、3年間の研究の取りまとめを行う。

  • Research Products

    (6 results)

All 2013 2012 Other

All Journal Article (3 results) Presentation (1 results) Book (2 results)

  • [Journal Article] 書評「城戸毅著『百年戦争-中世末期の英仏関係』」2012

    • Author(s)
      堀越 宏一
    • Journal Title

      史学雑誌

      Volume: 第121編第10号 Pages: 100-108

  • [Journal Article] 「騎士と武士の比較史」2012

    • Author(s)
      堀越 宏一
    • Journal Title

      歴史と地理(世界史の研究)

      Volume: No.656 Pages: 56-59

  • [Journal Article] 「「弓馬の道」と身分 ―中世ユーラシア大陸武器事情―」2012

    • Author(s)
      堀越 宏一
    • Journal Title

      星座

      Volume: No.61 Pages: 22-24

  • [Presentation] 「ヨーロッパにおける歴史観から見た「断絶」と「新生」」

    • Author(s)
      堀越 宏一
    • Organizer
      慶應義塾大学言語文化研究所公募研究「「断絶」と「新生」」公開シンポジウム「断絶を超えて―前近代のキリスト教世界とイスラーム世界における多様な試み―」
    • Place of Presentation
      慶応義塾大学三田キャンパス
  • [Book] 『15のテーマで学ぶ中世ヨーロッパ史』2013

    • Author(s)
      堀越宏一・甚野尚志編
    • Total Pages
      362
    • Publisher
      ミネルヴァ書房
  • [Book] 『ヨーロッパ中世の時間意識』2012

    • Author(s)
      甚野尚志・益田朋幸編
    • Total Pages
      22
    • Publisher
      知泉書館

URL: 

Published: 2014-07-24  

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