2012 Fiscal Year Research-status Report
マザリナードと論争研究 ― 歴史社会学と文学社会学の境界領域研究
Project/Area Number |
23520911
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
野呂 康 岡山大学, 言語教育センター, 准教授 (70468817)
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Keywords | 論争 / フロンド / マザリナード / 歴史記述 / パンフレ / 古文書 / 国際研究者交流 / 国際情報交流 |
Research Abstract |
本研究は三年間の継続研究が予定されており、本年度はその二年目にあたる。申請時には、全体の研究計画として次の五段階を設定した。1.東京大学付属図書館所蔵マザリナード・コレクションの紹介と列挙、2.テーマ別分類表の作成、3.欠落文書の探索、4.比較検討、5.政治史、論争史、社会史等の研究者との意見交換と共同の研究会の組織。昨年度に若干の方向修正をしたが、今年度は特にジャンセニスム運動初期の文書を中心に4.の比較検討を行い、5.の意見交換、研究会の組織に進むことが出来た。したがって研究は概ね当初の予定通りとなった。平成25年度にはフランスから研究者を招聘してシンポジウムおよび研究発表を行う予定である。以下が本年度の成果となる。 第一に、フランスにおけるジャンセニスム運動の誕生を告げる二文書『アウグスチヌス』と『頻繁なる聖体拝領』をめぐる論争文書のリストを作成し、日本に無いものに関しては現地図書館及びインターネットを用いて資料収集に務めた。 第二に、上記文書の比較検討をしたのち、社会科学高等研究院の招聘プログラムを利用して渡仏し、合計3回の招聘講演を行うことでその成果を発表した。 第三に、社会科学高等研究院クリスチアン・ジュオー研究指導教官、同院ダイナ・リバール准教授、ジュディト・リヨン-カン准教授、マルヌ・ラ・ヴァレ大学ニコラ・シャピラ准教授らと意見交換をし、平成25年度に招聘者として来日していただくこと、その際シンポジウムを開催することに関して同意が得られた。 その他では、1)平成20-21年度科研費(若手研究(B)(課題番号:20720092))を用いて作成した「マザリナード展示会」(一橋大学付属社会科学古典資料センター)のパンフレットが出版された。2)クリスチアン・ジュオー著『マザリナード 言葉のフロンド』(東京、水声社、2012)の翻訳を出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マザリナード文書を読み進めるうちに、初期ジャンセニスム運動の論争様態についての知識が必要不可欠であることに気づいたため、既に初年度後半から若干の方向修正を行ったが、今年度は修正後の方向をさらに進め、当初に予定していた研究の進展通り、最終段階までたどり着くことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度に初期ジャンセニスム運動における文書を網羅した論争文書のリストを作成し、さらには各文書の詳細書誌情報(出版者、献辞他)について相当の情報を得ることが出来た。これを基に、個人発表を予定している。また、フランスから4人の研究者を招聘し、論争および歴史記述に関する講演会、討論会及びシンポジウムを開催し、研究者一般にたいして、新たな方法論確立に向けて問題提起を行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在計画中のシンポジウムと招聘計画に要する費用が当初の想定を超える可能性がでてきたため、研究に支障のない範囲で24年度予算の一部を繰り越した。繰越金及び次年度のほとんど全額を岡山、神戸、東京にて招聘講演、シンポジウム開催、研究発表に用いる。
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Research Products
(8 results)