2013 Fiscal Year Annual Research Report
1940-50年代のイギリス帝国における資源保全とグローバルな環境保護主義
Project/Area Number |
23520917
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
水野 祥子 九州産業大学, 経済学部, 准教授 (40372601)
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Keywords | イギリス / 帝国 / 環境 / 資源 / 保全 / 国際連合 / グローバルガバナンス / 植民地開発 |
Research Abstract |
第二次世界大戦後から資源保全はグローバル・ガバナンスの対象になっていくが、植民地開発のなかで確立した保全制度がグローバルな環境保護主義の成立にどのように関与したかについては十分に考察されてこなかった。そこで本年度の研究では、1949年8月~9月にニューヨークのレイク・サクセスで開催された「資源の保全と利用に関する国連科学会議(United Nations Scientific Conference on the Conservation and Utilization of Resources, 以下 UNSCCURと略す)」をめぐる動きに焦点を当て、グローバルな資源の開発・保全構想が形成されるプロセスを検証した。そこで明らかになったのは、UNSCCURの提案からプログラムづくり、参加者の人選などが、圧倒的なアメリカのイニシアティブの下ですすめられたことである。 しかし、主要な議題の一つとなった発展途上国における未開発の資源をいかに効率的かつ持続的に活用するかという問題については、イギリス帝国の科学者の経験知が重要な意味をもったと考えられる。多くのアメリカの行政官が資源と科学技術と資本投下があれば発展途上地域の経済開発は可能とする楽観的な見方を示したのに対し、イギリス植民地の開発計画に携わる科学者は現地社会の経済や生態環境による制約にもっと意識的であった。本研究では植民地の開発計画の現状と課題に関するかれらの議論が1950年からの国連拡大技術援助計画を練るのに実用的な青写真を提供したことを明らかにした。これにより、グローバルな資源の開発・保全構想の展開にイギリス帝国が与えたインパクトを実証的に検討することができた。
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Research Products
(3 results)