2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520937
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Research Institution | Kyoto Seika University |
Principal Investigator |
小椋 純一 京都精華大学, 人文学部, 教授 (60141503)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 微粒炭 / 植生 / 歴史 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
微粒炭の母材植物確認を伴う微粒炭分析のためには微粒炭写真のデータベースが有効であり、平成27年度には、そのデータベース作成を試みた。微粒炭データベース作成のためには、まずしっかりとした微粒炭標本の作成が必要であるが、微粒炭標本の作成については、平成27年8月の日本第四紀学会で紹介した。 ある植物の組織、あるいはできるだけ細分化された部位を一定の炭化条件で炭化することによりできる微粒炭は、大まかに2~3の主なパターンに分類できる場合が多い。また、数は多くはないものの特徴的な形態をしたものが見られることがある。そうした主なパターンの微粒炭写真を数枚ずつと特徴的なものを若干数、一定の炭化条件下のある植物の組織や部位のデータベース用写真とした。微粒炭データベースは、平成27年度中に不十分ながら完成したが、もう少し充実した段階で、平成28年度内にインターネット上で公開する予定である。 一方、微粒炭等炭化物についての基礎的研究の一環として、半自然草原地表部に残る微粒炭等炭化物について調べた。2つの調査地はともに中国山地の多雪地で、冬には毎年1mを超える積雪があるところである。両調査地は、ともに火入れにより維持されている草原があり、そこにはススキを中心とした植生が広く見られるが、そうしたススキ草原の中にも、一部にはササ やワラビなどを中心とした大小の草原の部分もある。そのように必ずしも一様ではない草原の地表部に、どのような微粒炭等炭化物が残されているかを調べた。 計20数地点で採取した試料から抽出した微粒炭を落射顕微鏡を用いて400倍の倍率で観察し、意図的にならないよう順次100個写真撮影をした。その後、微粒炭の表面形態ごとに9つタイプと 「その他」に分類して検討した結果、地表部に残された微粒炭は、各試料採取地点の比較的小面積の植生を反映したものである場合が多いことが確認できた。
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