2013 Fiscal Year Annual Research Report
中央アナトリア西部における鉄器時代フリュギアの遺物研究
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23520942
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Research Institution | The Middle Eastern Culture Center in Japan |
Principal Investigator |
山下 守 (財)中近東文化センター, アナトリア考古学研究所, 研究員 (70370195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 公仁 (公財)中近東文化センター, アナトリア考古学研究所, 研究員 (60370194)
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Keywords | 考古学 / アナトリア / 鉄器時代 / フリュギア |
Research Abstract |
本調査研究は、中央アナトリア西部における鉄器時代フリュギアの遺物研究を通して、フリュギア西部地域に特有な物質文化を把握することを目的として行われた。具体的には、アンカラ・アナトリア文明博物館、エスキシェヒル博物館等の博物館が所蔵する中央アナトリア西部で発見された鉄器時代フリュギアの土器、金属器等の考古資料を調査、記録し、さらにこれを他地域のフリュギア資料と比較研究することによって、フリュギア西部の物質文化に特有な地域的特徴を解明することが目標とされた。 平成25年度においては、 平成24年度の調査結果を踏まえ、中央アナトリア西部におけるフリュギア文化の重要遺物の大部分を所蔵するエスキシェヒル博物館において、西部フリュギア文化に特有な地域的特徴を把握する上で特に重要であると考えられるミダス・シティー遺跡出土の遺物に対する調査を継続すると共に、エスキシェヒル周辺の他の諸遺跡から出土したフリュギア遺物についても調査を行った。この調査で、ミダス・シティー遺跡出土の遺物(青銅器、鉄器、土器等)120点余りを、またエスキシェヒル周辺の遺跡から出土した遺物(青銅器、土器)80点弱を実測、写真撮影し、精査することが出来た。 平成25年度の遺物調査の結果、ミダス・シティー遺跡の出土遺物に代表される様な中央アナトリア西部における鉄器時代フリュギアの遺物の中には、中央アナトリア中央部におけるフリュギア中心地域には見られない、エーゲ海東部や南西アナトリアの鉄器時代文化からの影響を示す、この地域独自のものが存在することが確認された。 こうした本調査研究の成果が、現在のフリュギア研究における難題の一つであるフリュギア文化の発展における諸地域間の有機的関連性の問題を解明する上で重要な基礎となるばかりでなく、今後のフリュギア研究全体の発展、革新にも大きく貢献することは間違いないと言える。
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