2011 Fiscal Year Research-status Report
家形埴輪の群構成と階層性からみた東アジアにおける古墳葬送儀礼に関する基礎的研究
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23520943
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Research Institution | Tokyo National Museum |
Principal Investigator |
古谷 毅 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部列品管理課, 主任研究員 (40238697)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 考古学 / 古墳時代 / 前方後円墳 / 葬送儀礼 / 家形埴輪 / 国際情報交流 / 韓国 |
Research Abstract |
日本列島の古代国家形成期に該当する古墳時代には、前方後円墳を中心とした古墳で執り行われた葬送儀礼が日本列島内の政治的秩序や各地域社会の安定に重要な役割を果たしたと考えられている。本研究では、器財埴輪で最初に出現し前方後円墳の終焉まで一貫して製作され続け、古墳に樹立された家形埴輪の群構成と階層性の分析を通じて、古墳時代の葬送儀礼の復元と歴史的意義を検討する。とくに、東アジア農耕社会における国家成立段階の集落建築や家形造形品との比較・検討から、家形埴輪群の実体と配置に関する復元的分析からその実態と特質を明らかにし、古墳時代社会の安定と成長に大きな役割を果たした古墳葬送儀礼と、その背景にある古墳時代の他界観(世界観)を解明するための基礎研究の確立を目的とする。 本年度は、連携研究者および日本古代史研究者を含む研究協力者と共に、平成23年10月および平成24年2・3月に、大阪府・京都府・滋賀県において研究会を開催し、これまでの調査成果の確認と東アジアにおける古墳葬送儀礼に関する問題点を分析・検討した。 一方、資料調査は近畿・中国・関東地方で、大阪府・京都府・滋賀県・広島県・群馬県などの古墳出土埴輪資料の調査を順次、実施したほか、既存の調査資料の整理と東京国立博物館所蔵埴輪資料の調査準備を進めた。既存調査資料では、写真・データ等の整理・分析を実施した。また、従来交付された科学研究費補助金C・B(2000~2002・2005~2007年度)の研究成果を含めた総合的研究報告書の内容・構成と体裁、および作成スケジュール等の検討と打合せも進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来交付された科学研究費補助金C・B(2000~2002・2005~2007年度)による調査・研究成果を継承し、連携研究者および各地の研究協力者と共に研究会を組織して随時開催し、各地の主要古墳出土埴輪群の分析結果を検討した。 近畿・中国・関東地方等の主要古墳出土資料を重点的に補足調査を実施し、発掘調査によって家形埴輪を含む埴輪配列が確認された良好な家形埴輪資料を再度精査して、埴輪樹立時の群構成と配置・階層性を復元する基礎資料を整備した。これにより従来、円筒埴輪中心であった埴輪研究の調査事例を質・量ともに上廻ることができ、本研究テーマの資料的基盤を構築することができた。 また、連携研究者と共に日本古代史研究者を含む多数の研究協力者を得て、研究視角の面でも古墳時代・古代史研究における応用性などに一定の成果がった。一方、予算運用の時間的・人的投資については、調査回数・研究会回数において十分な成果があったが、東京国立博物館所蔵資料の調査、および既存資料の整備・論文等公開については、平成23年度の震災の影響と本務の事情によりやや不十分に終わった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度研究計画においては、まず前記の「現在までの達成度」に述べたように、平成23年度は震災の影響と本務の都合により残額554,270円が生じた。平成24年度は平成23年度残額と直接経費1,300,000万円と合わせ、予定した調査活動・研究会活動と併行して、平成23年度に不十分であった東京国立博物館所蔵資料の調査、および既存資料のデジタル化などの資料整備を強化する予定である。 調査活動については、補足調査の拡充によって既存調査資料の資料精度の正確性とデータベースとしての基盤の充実を図る。東京国立博物館所蔵資料の調査に関しては、早期に人的配置や調査環境を計画的に準備し、次項の「次年度の研究費の使用計画」に掲げるような平成23・24年度計画の資料整理・調査を積極的に進めて、東京国立博物館所蔵埴輪の資料化と公開準備を目指す。研究会活動については、さらに日本古代史研究者等との研究協力を強化し、連携研究者・研究協力者とともに、研究視角に関する検証や調査成果に関する分析の発展を図る。また平成24年度には、韓国で調査・研究会を計画し、韓国三国時代集落・墳墓研究者との意見交換を実施して、本研究の成果と分析視角の検証を行なう。 さらに、公開性については、調査・研究成果を論文・学会報告等を通じて広く学術情報の発信を図ることで、より高度な発展性・独創性の確立を目標とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に引き続き、補足調査を実施する。平成24年度は福岡県・広島県・大阪府・奈良県・三重県・群馬県・山形県・岩手県等の古墳出土埴輪群を対象とし、平成23年度の補足調査も実施する。このほか、東京国立博物館所蔵資料の調査は、群馬県赤堀茶臼山古墳および群馬県白石稲荷山古墳および宮崎県西都原古墳群出土埴輪群などを対象として整理・調査を進めることで、より研究予算運用の効率化と適時性を高める。 一方、研究会は従来交付された科学研究費補助金C・B(2000~2002・2005~2007年度)による調査・研究成果を継承し、平成23年度と同様に数回の開催を計画し、連携研究者・研究協力者とともに、調査成果の共有と研究成果の分析を進める。 また、平成24年度は古墳時代と同時期の韓国三国時代農耕社会における集落建築や家形造形品との比較・検討するために、韓国の三国時代集落遺跡・墳墓遺跡研究の現状を調査した上で現地において研究会を開催する。ここでは日韓の集落遺跡建物群と家形埴輪の群構成と階層性について比較・検討と、東アジアにおける三国時代と古墳時代の葬送儀礼の比較・検討を試みる。
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Research Products
(3 results)