2013 Fiscal Year Annual Research Report
三次元レーザー計測を利用した古墳時代甲冑製作の復元的研究
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23520945
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
吉村 和昭 奈良県立橿原考古学研究所, 企画課, 総括研究員 (10250375)
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Keywords | 考古学 / 古墳時代 / 甲冑 / 三次元レーザー計測 / 型紙 / 生産組織 / 地下式横穴墓 |
Research Abstract |
古墳時代の甲冑、とりわけ製作技術に関する研究は、近年、甲冑個体レベルでの詳細な検討が進められるなど高い水準にある。しかし、その製作工人集団、生産組織は、なお、その実態解明に至っていない。これまでの製作工人集団の識別、同工品の抽出は、製作工程後半段階の要素の検討が中心であり、設計段階、製作前半段階の検討が不十分であった。本研究では、複雑な立体構造ゆえに、二次元的な情報のみでは比較困難であった甲冑について、その設計~製作工程前半段階に焦点を当てた。三次元レーザー計測を活用して精密な情報を収集し、その分析に基づき、甲冑生産組織の実態解明の糸口となりうる、平面的な設計図「型紙」存在の確認とその検討をおこなった。 平成23・24年度は、研究の基礎となる甲冑の三次元計測データの収集に注力した。計測対象には、遺存状態が良好な宮崎県の地下式横穴墓出土資料を選択した。破片資料を含む17点(横矧板鋲留短甲9、横矧板革綴短甲1、三角板鋲留短甲2、三角板革綴短甲1、衝角付冑2、眉庇付冑2)である。 最終年度である25年度は、計測した甲冑の分析に主眼を置いた。計測資料中、短甲、とくに計測数の多い横矧板鋲留短甲同士のデータを比較した結果、2領ずつ3組において、それぞれ鉄板の形状・法量、連接位置などに一致あるいはごく近似するものが認められた。このことから、3組の横矧板鋲留短甲同士は、それぞれ同じ平面的設計図「型紙」を使用して製作された可能性が高いものと結論づけた。 研究過程において、三次元計測技術の利点を生かし、変形資料の形状補正、また、破片資料、部品が遊離した革綴甲冑について、部品を三次元データ上で本来の位置に置き、全体構造を復元するといった技術の開発と蓄積もおこなった。 なお、年度末には、これらの成果をまとめた研究成果報告書を刊行した。
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Research Products
(2 results)