2013 Fiscal Year Annual Research Report
農村空間の商品化からみた日本の余暇・観光振興の地域差に関する実証的研究
Project/Area Number |
23520947
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田林 明 筑波大学, 名誉教授 (70092525)
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Keywords | 農村地理学 / 農村空間 / 商品化 / 余暇・観光 / 地域差 |
Research Abstract |
本研究は農村空間の商品化という視点から、日本における余暇・観光地域の再編と発展の可能性を探り、さらにこの側面から日本の地域差と地域構造を解明することを目的とした。本年度には日本を象徴する首都圏とその周辺の15都県における農村空間の商品化による観光振興の地域差を、関係都県の観光と農業の担当者からの聞き取り、既存の文献や統計の検討、フィールドワークなどから明らかにした。また、都心部、熱海や箱根などの既存の観光地を中心とした事例調査を行った。 結果として、散策はいずれの地域でもみられるが、特に大都市域を象徴するものであった。同様に市民農園は都市郊外、農産物直売所は平坦農業地域、観光農園は主として盆地の果樹地域に、ハイキングは丘陵や低山性山地、農林体験・農山村生活体験は山間の盆地などに、避暑は高原リゾート地、スキーは積雪山岳、登山は標高の高い山岳、そしてマリーン・レジャーは沿岸部や島嶼部といった具合である。農村空間の商品化による観光振興の地域差は、自然環境や農林水産業の内容、既存の著名な観光地、そして都市からの近接性によって影響を受けており、基本的には東京都心部を中心として同心円状のパターンをしていることがわかった。 研究の集大成として、研究協力者とともにここ3年間の研究期間に実施した事例研究を、上記の地域差に対応するように配列して『地域振興としての農村空間の商品化』という題名の単行本の原稿を作成して、平成26年度科学研究費補助金研究成果公開促進費(学術図書)を申請し、交付内定を受けた。そこでは「農村空間の商品化の概念」、「首都圏とその周辺の地域差」に続いて、「市民農園や農産物直売所」、「農村景観の商品化や農業サポーター」、「既存の観光地域における農村空間の商品化によるさらなる観光振興の可能性」、「水産物や漁村文化の商品化による地域振興」など10の事例研究を収録することができた。
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