2011 Fiscal Year Research-status Report
衛星画像を利用したユーラシアにおける都市遺跡・歴史的都市の立地とプランの類型化
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23520951
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小方 登 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (30160740)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 都城 / 東アジア / 中国 / 渤海国 / 衛星画像 / CORONA衛星写真 |
Research Abstract |
本年度はまず,『続日本紀』神亀元年11月の記事などをもとに,「誇示する都城 Conspicuousness of the Imperial City」という概念を提示し,古代ローマ都市などとの比較において考察した。 これを元に,8~9世紀に中国東北地方に存在した渤海国の都城について,再検討した。前稿,小方登「衛星写真を利用した渤海都城プランの研究」(人文地理52巻2号:2000年)においては,主に公開された米国の偵察衛星写真(CORONA衛星写真)を利用した。しかし,CORONA衛星写真は方位,縮尺が不明確で,幾何的ひずみが大きいという問題点が残されてていた。本年度は,購入したDigitalGlobe社衛星画像(QuickBird, WorldViewなど)を利用することにより,これら問題点の補完を試みた。またこれらの新しい衛星画像は幾何的ひずみがより小さいので,CORONA衛星写真の幾何補正のベースとして活用した。CORONA衛星写真は撮影時期が古いため,遺跡の原状をよりよくとどめていると考えられる。新旧の衛星画像の長所を組み合わせて,渤海都城のより正確な復原図作成を試みた。合わせてこうした復原から読み取れる都城プランについて,「誇示する都城」という観点から解釈を試みた。 以上の成果は,2011年11月に南米チリ・サンチアゴにおいて開催された,国際地理学連合地域会議において,‘A Study of East Asian Classical City Planning Using Satellite Images’と題する研究発表において,中国中原王朝(隋・唐など)の事例などと合わせて報告された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
8・9世紀に中国・東北地方に存在した渤海国の都城について,入手したQuickBird衛星写真をもとにCORONA衛星写真の幾何補正を行い,より正確な復原図を作成した。これに基づき,古代東アジアの都城に共通する要素を特徴付け,ローマ帝国の都市などと対比する形で,研究成果にまとめた。これは2011年11月に南米チリ・サンチアゴにおいて開催された,国際地理学連合地域会議において,‘A Study of East Asian Classical City Planning Using Satellite Images’と題して,発表された。そのほかにも,ウズベキスタン・サマルカンド地域や中国・新疆ウイグル自治区に点在する都市・集落遺跡を調査するため,CORONA衛星写真やDigitalGlobe社衛星画像を入手し,立地・プランなどについて分析を行った。 このように研究はおおむね予定通り,順調に進展している。ただし,シリアなど中東諸国で政情不安が発生したため,その方面への調査の計画に後れを生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究対象地域を,ウズベキスタンなど中央アジア,そしてシリア・レバノンなど西アジア諸国に拡大する。ただしシリアなどは政情不安の状態にあり,状況によっては目的地をトルコに変更するなどの措置をとる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の主たる使途は,海外調査旅費と衛星画像購入費である。衛星画像は撮影時期の古いCORONA衛星写真(公開された米国偵察衛星写真)と,撮影時期の新しい高解像度衛星画像との組み合わせとなる。
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Research Products
(1 results)