2012 Fiscal Year Research-status Report
衛星画像を利用したユーラシアにおける都市遺跡・歴史的都市の立地とプランの類型化
Project/Area Number |
23520951
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小方 登 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (30160740)
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Keywords | 衛星画像 / CORONA衛星写真 / ウズベキスタン / サマルカンド / ヘレニズム・ローマ都市 / トルコ / アンティオキア / セレウキア・ピエリア |
Research Abstract |
本研究プロジェクトでは,衛星画像を利用して,ユーラシアの都市遺跡・歴史的都市の立地とプランを類型化しようと試みているが,平成24年度においては,その一環として,ウズベキスタン・サマルカンド地域に散在する集落遺跡についてWorldView衛星画像を入手し,1960年代に撮影されたCORONA衛星写真と比較する作業を行った。新しい衛星画像を用いて,CORONA衛星写真の幾何的歪みを除去し,さらに40年の時代を経た遺跡の状況の変化を検討した。ダムの建設により,周囲が水没している遺跡もあった。こうした知見をまとめて,平成24年8月にケルンで開催された第32回国際地理学会議において,'Study of archaeological features in the Samarkand region, Uzbekistan, using satellite imagery' という題目で発表した。 また,ヘレニズム時代に建設された西アジアの植民都市が,共通の都市プランを有していたとの知見に基づき,セレウコス朝シリアの首都,アンティオキアとその外港の位置を占めるセレウキア・ピエリアについて研究した。それぞれのWorldView衛星画像を入手して,CORONA衛星写真と比較検討した後,平成24年11月17~24日に現地調査を実施した。セレウキア・ピエリアでは,港湾跡,城壁,墳墓,「トンネル」と呼ばれる溝などを実見・調査した。その成果は「古代都市セレウキア・ピエリアの立地と形態」(『地域と環境』12号,2012年)として刊行した。アンティオキアに関しては,この町の郊外にあるダフネの泉と,そこから町に給水していた水道の水道橋跡,また町の東側の山の稜線上をめぐる城壁を実見・調査した。これらが平成24年度における研究実績の概要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
衛星画像の入手・分析,現地調査の実施,研究成果の発表・刊行など,本研究プロジェクトはおおむね順調に進展している。ただしシリアが内戦状態にあるため,セレウコス朝シリア諸都市の現地調査をトルコ領内に限定せざるを得なかったことが遺憾である。
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Strategy for Future Research Activity |
ユーラシアは広大であるため,本研究プロジェクトでカバーすることはできない。しかし地域ごとの歴史的都市について,その立地・プランの特徴を抽出することは可能なので,特色ある地域を重点的に選定して,衛星画像を入手・分析する。現地調査ができる地域はさらに限られるが,研究上重要な地域を選んで実施する。現在のところウズベキスタンなどを候補としている。研究成果は積極的に発表・刊行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究対象地域について,CORONA衛星写真,WorldView衛星画像などを購入する。また,現地調査に必要な旅費を支弁する。研究を実施するのに必要な作業の補助のため,謝金を用いる。
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Research Products
(3 results)