2012 Fiscal Year Research-status Report
ライフヒストリー分析によるアフリカ焼畑社会の出生力変異の解明
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23520956
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 廉也 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (20293938)
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Keywords | ライフヒストリー / 出生力 / アフリカ / 人類学 / 行動学 / 国際研究者交流 / エチオピア |
Research Abstract |
本研究は、伝統的に低出生力であったアフリカ焼畑社会を主な対象として、個人の生活史(ライフヒストリー)に着目することによって、ライフイベントの個人差・世代差と出生力の変異との相互関係を明らかにし、文化地理学・歴史人口学・人類生態学において議論されてきた「生業と人口の関係」という問題を解明することを目的としている。とりわけ、「青少年期の技術習得」「結婚と出産・子育て」「子どもの成人後の壮年期・老年期」などの生涯の主要なステージに着目し、個人間・世代間・男女間の違いが出生力の変異にどのように影響しているのかを、収集したライフヒストリーデータの定量的・定性的分析によって明らかにする。 本年度(平成24年度)は、初年度(平成23年度)に現地で得られた資料・データの整理・データベース化と基礎的な統計分析に費やしたため、現地調査はおこなわなかったが、現地語で得た聞き取り資料を電子化する作業をすすめることができ、ライフヒストリー分析を次年度にすすめるための準備を完了することができた。主な知見として、子供の技術習得過程と初婚年齢・生涯出生力との関係を数値で示すことができたこと、男性の複婚経験と出生力の関係を明らかにすることができたこと、夫婦の年齢差と初産年齢との関係を明らかにすることができたこと、などがある。 統計資料・聞き取り資料ともに、ライフコースの段階ごとに整理をすすめた。データベースの形式を整え基礎統計の分析をおこなったことで課題が明瞭となり、次年度の現地調査の方針を明確化することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要な目的は、低出生力であったアフリカ焼畑社会を主な対象として、個人の生活史(ライフヒストリー)に着目することによって、ライフイベントの個人差・世代差と出生力の変異との相互関係を明らかにし、未解明の課題である「生業と人口の関係」という問題を解明することを目的としている。 今年度までに、「青少年期の技術習得」「結婚と出産・子育て」の主要なステージのデータ整理と分析に着手し、いくつかの重要な知見を得た。この点において、研究は順調に進展しており、研究成果も出しつつある。今後は予定通り、現地調査を実施してデータを補足しながら、「子どもの成人後の壮年期・老年期」などのステージにおいて残された分析をおこないつつ、ライフヒストリーデータの定量的・定性的分析をすすめる。 以上から、研究はおおむね順調に進展しているものと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究はおおむね順調に進展しているので、今後も計画に従って研究をすすめるが、今年度はデータ整理・分析を優先させたため現地調査を見送った。したがって、次年度は現地調査を実施してデータの補足を十分におこなう予定である。 また、個人データの整理・分析の過程で、個人の出生地・移住歴を分析に加えることが有効であることが示唆されている。この点を鑑み、さらに目的に沿った分析をすすめる。 得られた結果は、すみやかに学会発表で公表し、その後論文の形で出版することにも留意する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の通り、次年度は現地調査を優先させるため、エチオピアにおける現地調査関連経費(現地調査旅費・謝金・レンタカー借料)を計画している。また学会発表をおこなうため、国内旅費も計画している。
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Research Products
(4 results)