2013 Fiscal Year Research-status Report
ライフヒストリー分析によるアフリカ焼畑社会の出生力変異の解明
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23520956
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 廉也 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 准教授 (20293938)
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Keywords | ライフヒストリー / 出生力 / アフリカ / 人類学 / 行動学 / 国際研究者交流 / エチオピア |
Research Abstract |
本研究は、伝統的に低出生力であったアフリカ焼畑社会を主な対象として、個人の生活史(ライフヒストリー)に着目することによって、ライフイベントの個人差・世代差と出生力の変異との相互関係を明らかにし、文化地理学・歴史人口学・人類生態学において議論されてきた「生業と人口の関係」という問題を解明することを目的としている。とりわけ、「青少年期の技術習得」「結婚と出産・子育て」「子供の成人後の壮年期・老年期」などの生涯の主要なステージに着目し、個人間・世代間・男女間の違いが出生力の変異にどのように影響しているのかを、収集したライフヒストリーデータの定量的・定性的分析によって明らかにするものである。 本年度(平成25年度)は、これまでに現地で得られた資料もとに生活史パラメーターと出生力との関連に関する統計分析をすすめるとともに、現地調査を実施して各世代に関する行動データを収集し、生活史パラメーターに関わるデータの補完をおこなった。 主な知見として、子供の技術獲得過程、とりわけ男性の蜂蜜採集技術の習得と初婚年齢および生涯出生力との間に強い相関がみられたこと、定住化による社会変化によって出産間隔が顕著に短縮化し、生涯出生力のみならず生活史パターン全体に大きな変化をもたらしたこと、などがある。 これらの研究結果は、複数の学会発表で公表し、同時に出版物においてその成果の一部を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度までに、2度の現地調査をおこない、生活史パラメーターに関するデータを収集することができた。これらのデータをデータベース化してエチオピアの焼畑民・マジャンギルの個人史データベースを作成し、様々な生活史パラメーターと出生力の変異との諸関係を統計的に解析し、多くの知見を得ることができた。これらは当初の計画通りであり、本研究は順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度はこれまでに得られた本研究の知見をまとめ、論文・著書として公表することに力点を置く。ただし、子供の技術獲得行動に関するデータを補完する必要があるため、本年度も現地調査をおこなう予定である。また論文執筆に先立っては、国内外の学会発表を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は予定通り1回の現地調査をおこなったが、平成24年度に計画されていた現地調査を中止したために生じた金額が未使用額として残されている。 なお平成24年度に現地調査をおこなわなかったのは、データベース作成と統計解析を優先させたためである。 未使用額の分は、平成26年度にデータ補完のために実施する現地調査において使用する予定である。その他は、予定通り成果発表のための経費にあてるため、トータルとして研究費使用は当初の予定通りとなる。
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Research Products
(5 results)