2015 Fiscal Year Annual Research Report
ライフヒストリー分析によるアフリカ焼畑社会の出生力変異の解明
Project/Area Number |
23520956
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 廉也 大阪大学, 文学研究科, 教授 (20293938)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
|
Keywords | ライフヒストリー / 出生力 / アフリカ / 人口学 / エチオピア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、伝統的に低出生力であったアフリカ焼畑社会を主な対象として、個人の生活史(ライフヒストリー)に着目することによって、ライフイベントの個人差・世代差と出生力の変異との相互関係を明らかにし、「生業と人口の関係」という問題を解明することを目的とした。最終年度においては、これまで収集してきたエチオピアの焼畑民のライフヒストリーデータベースのデータを綿密に吟味し、データの正確性を高めるとともに、分析結果を学会発表および論文の形で公表した(論文は全て提出済みだが編者や出版社の都合等により出版準備過程にある)。 本研究の得られた知見の最も重要なものは、国家に包摂される以前の焼畑民のライフヒストリーデータ(とりわけ出生・死亡に関するデータ)集成という世界でも稀な知的財産を得られたことに加え、国家に包摂された後の同一集団のデータとあわせての検討によって、ライフヒストリーと出生力の間の諸関係の一部を解明できたことである。とりわけ、定住化にともない結婚年齢の低下と出産間隔の短縮が顕著に生じ、急激な出生力上昇がみられたことを実証的に示すことができたことは、人口史研究にも大きなインパクトを持ちうると思われる。 今後は、異なる地域での生業と出生力の関係をみることで、本研究の成果をより一般的な知見と結びつけることを課題とする。具体的に、現在でも低出生力のラオスの焼畑民に関する調査に着手しており、そのケースでは低出生力の近接的な要因が低脂肪、すなわち生業とその結果としての食生活に起因することが確かめられつつある。
|
Research Products
(5 results)