2011 Fiscal Year Research-status Report
地方中規模都市における公共交通指向政策導入に関する地理学的検証
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23520963
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
石川 雄一 長崎県立大学, 経済学部, 教授 (00232273)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 都市政策 / 公共交通指向政策 / 地方中規模都市 / LRT |
Research Abstract |
平成23年度は4年間の研究期間の第1年目であり、主として国内外の公共交通指向政策の研究の基礎となる資料・統計類の収集と、GISを活用した地理学的な分析を主体に研究を進めた。なお統計資料類に関しては、2010年前後の主要統計の一部がまだ公表されていないので、来年度以降も可能な限り最新のデータを入手し分析結果を更新していく予定である。 とくに23年度は、国内では公共交通指向政策を打ち出している富山市ならびに公共交通利用者が多い長崎市の事例と、それら都市と比較しうる国内外都市を抽出するためのデータ分析を行った。そこで地方の中規模都市で国内のLRT、路面電車が都市内交通として機能している都市から、長崎市、富山市に加えて、広島市、松山市、熊本市、鹿児島市の公共交通沿線の人口・従業者の分布を小地域統計(2010年センサスの基本単位区データおよび2006年の事業所・企業統計調査区データ)を用いて分析した。また北米のダラス市とセントルイス市に関しても同様に小地域統計(2010年センサスのBlock単位のデータ)を用いて公共交通沿線の地域構造について分析を行った。またGISを用いてフランスのストラスブール市ならびにオルレアン市の公共交通沿線の土地利用の分析を行った。さらに小地域統計(IRIS2009、IROTs1999)の入手も行った。 まだ統計発行年時の違いでそれぞれの地域で共通に比較しうるデータ分析は行っていないが、今後、不足している土地利用図や小地域統計を充実させたうえで日米欧の比較考察を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
統計発行年時のずれにより、総合的な分析・考察は行えていないが、最新の小地域統計はほぼ当初の予定通り入手できた。またこれらの分析は今回の研究期間には間に合う予定である。できるところから進めているので、2・3年次目にそれぞれの成果の進捗状況の足並みが揃い、総合的な考察が可能となる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、最新のデータを入手次第分析をおこない、さらにこれまでの分析結果をもとに、現地調査地の選定ならびに現地での公共交通指向政策に関する資料並びに小地域統計収集に努める。 これまで部分的に欠損していたデータ類を用いた分析をまず進めて、公共交通沿線の実態をデスクワークで考察したうえで、効率よく現地の調査を行う。 とりわけ現地調査においては現地における資料類の収集とともにLRTならびに路面電車沿線の人口・土地利用の分析結果との照合を必要箇所で行い。詳細な現地における調査結果を研究に加える。とくにTODによる再開発が進んでいる地区での現地調査を重点的に進めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度の研究費の使用に関しては、まず国内外の現地調査のために利用する。具体的には国内で遠近2都市程度、海外で欧州か北米のいずれかでの数都市を対象とした現地調査に充てる。また24年度中に入手可能になる統計類等(たとえば平成22年度国勢調査町丁字別集計の続編・都道府県別)の入手に努める。 研究には学内の研究資金等も充当し、とくに統計類に関しては当研究費と合わせて共通利用できるものを効率よく活用する予定である。
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