2013 Fiscal Year Research-status Report
地方中規模都市における公共交通指向政策導入に関する地理学的検証
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23520963
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
石川 雄一 長崎県立大学, 経済学部, 教授 (00232273)
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Keywords | TOD / コンパクトシティ / GIS / LRT / 都市構造 |
Research Abstract |
小地域統計をもとに日仏英の地方中規模都市圏における、LRT沿線の人口分布の特色について分析を行った。分析対象地域としたのは、日本のケースでは広島、熊本、長崎、鹿児島、松山、高知、フランスのケースではストラスブール、グルノーブル、北米のケースではダラス、ポートランド、ソルトレークシティである。分析の結果LRT沿線(駅から500m圏内)沿線人口密度は、富山がLRT沿線で3456人/k㎡及び路面電車沿線で4261人/k㎡、広島が10015人/k㎡、熊本が7024人/k㎡、鹿児島が9463人/k㎡、松山が7926人/k㎡、高知が4456人/k㎡、ストラスブールLRT沿線が6386人/k㎡、グルノーブルLRT沿線が8315人/k㎡、ダラスLRT沿線が980人/k㎡、ポートランドLRT沿線が1809人/k㎡、ソルトレークシティLRT沿線が1021人/k㎡であった。 日本のケースは富山の一例を除いて、路面電車沿線で路線も短く中心市街地周辺にコンパクトに分布し、駅間距離も短いケースが多いが、沿線人口密度は3500人から1万人程度と高かった。北米都市圏のケースでは、ダラスとポートランドは都市圏人口が100万人を超える大都市圏で、都市構造も他都市と異なる点もあるが、沿線人口は少なく、低人口密度であった。人口10万人規模の都市においても政府の援助でLRT建設が進められているフランスの場合は、路線長は長くないものの、半径500m圏でのカバー率が高く、また沿線人口は多く、日本の路面電車沿線のケースと同様に高人口密度であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成2年度平成24年度に引き続き、平成25年度において学部長に指名されたため、予定より公務が増加し、当初予定していた十分な研究時間をとることができなかった。これまでのデータのうち、入手できたところより断続的に分析を進めていたが、考察に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
最新のデータの入手に時間を要したところもあり、これまでデータ入手と現地調査が進んだ都市圏より段階的に分析を行ってきたが、今年度はそれらの分析結果を収斂し、最終的な研究目的である、中規模都市におけるLRT導入による公共交通指向政策が国内でも可能であるか、都市構造、沿線人口の変遷など地理学的な側面からの考察結果をまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学部長の公務としての多忙さより、予定に比べて国内主要都市の調査に出る機会が少なかった。 国内調査に関しては、できる限り現地調査に出ることに努めるが、資料や統計・地図収集で分析可能な場合は、必ずしも現地調査にこだわらずに、資料収集を中心とした分析・考察を行うこととする。
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