2014 Fiscal Year Annual Research Report
地方中規模都市における公共交通指向政策導入に関する地理学的検証
Project/Area Number |
23520963
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
石川 雄一 長崎県立大学, 経済学部, 教授 (00232273)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | TOD / LRT / 路面電車 / GIS / 小地域統計 |
Outline of Annual Research Achievements |
GISを活用したLRTおよび路面電車沿線の居住人口、就業人口を分析した。すでにアメリカ合衆国のポートランドとダラス、フランスのグルノーブルとストラスブールのLRT沿線、日本の政令指定都市広島と路面電車またはLRT網がある人口50万人規模の県庁所在都市での沿線の居住人口密度を分析していたが、今年度は沿線居住人口密度と従業人口密度の空間的パターンをもとに、より人口規模の小さな都市での同様な公共交通施設を基にした交通政策の実現可能性を検証した。 検証したのは佐世保市と久留米市で、県庁所在都市に次ぐ都市規模レベルの都市であり、人口20万人台の都市である。路面電車の維持のためには独立採算が強く求められる国内の都市では、人口密度5000人/平方キロをおおむね要するが、この条件を満たす地区の広がりを独自に作成したGISマップより検証した。そして佐世保市では条件を満たすエリアは、都心を中心に帯状に広範囲に連続するが、久留米市では中心部では全般的に高密度であるが、周辺部で急激に密度が低下するため建設に適した帯状に広域に条件を満たす地区が見当たらなかった。 またこれらの分析を行うにあたって、就業人口のケースでは、最小の小地域統計である経済センサスの調査区データを活用することができたが、最小の居住人口統計がある国勢調査では基本単位区の境域図が公開されていない。公開されているのは基本単位区の幾何学的中心点のみである。そこで中心点のデータを活用しGISでボロノイ分割を行い、概ねの境域を推定したものを仮の境域として、居住人口密度を算出した。 またアメリカ合衆国とフランスのLRT財源を考察し、いずれも独立採算制ではなく、アメリカではとくに交通弱者対策の福祉事業として色合いが強く、多額の売上税を財源に充てていること、またフランスでは環境問題の一環として、LRT建設に公的予算が注がれていることを考察した。
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Research Products
(1 results)