2011 Fiscal Year Research-status Report
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23520965
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
遠藤 元 大東文化大学, 国際関係学部, 准教授 (30307144)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | タイ |
Research Abstract |
2011年8月のタイ現地調査では、生鮮食品の流通機構の全体像を大まかに把握することを目指し、聞き取り調査と文献調査を実施した。聞き取り調査については、同国商業省国内取引局マーケティング促進・開発部部長と面会し、タイの青果物中央卸売市場の現状と政府の支援政策について情報収集した。また、タイの主要スーパーマーケットのひとつを訪問し、同社の生鮮食品の仕入れと物流について聞き取り調査を実施した。文献調査については、商業省事業開発局で地方有力流通企業の財務データを収集したほか、チュラーロンコーン大学図書館、タイ最大の民間シンクタンクTDRI(Thailand Development Research Institute)資料室などで資料収集を行った。さらに、バンコク都内の主要スーパーマーケットおよびハイパーマーケットの生鮮食品売場を見学し、青果物の仕入れ先を調査した。 2012年3月のタイ現地調査でも、上記調査に引き続き、聞き取り調査と文献調査を実施した。聞き取り調査については、青果物仲卸業者2人と面会し、それぞれから事業内容および業界事情について聞き取りを行った。また、バンコクおよび近郊の中央卸売市場を2カ所訪問し、それぞれにおいて仲卸業者から聞き取りを行った。文献調査については、タイの主要新聞社の情報センターでデータベースを利用し、過去に遡って関連記事を収集した。 両調査の終了後、収集してきた資料・データを読み込んだうえで整理した。 以上のように、平成23年度は本研究の初年度ということもあり、まずはタイ生鮮食品流通の全体像を大まかに把握することに専念した。その結果、タイでは近年、外資主導でスーパーマーケットやハイパーマーケットなどの近代小売業が急成長しているものの、依然として、伝統的な流通機構や生鮮市場が重要な役割を担っていることがある程度わかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、タイの非上場企業の財務データを収集する際には同国の民間情報サービス会社(BOL社)の有償サービスを利用する予定であった。ところが、同社はそのサービスを2011年に止めてしまった。非上場企業財務データ自体は、同国商業省事業開発局で所定の手続きをとれば閲覧可能であるが、一社ずつ申し込み用紙を作成し手数料を支払ってから閲覧が許可されるという、きわめて効率の悪い手順を踏むことを要求される。そのため、当初考えていたような財務データの定量分析については、かなり規模を縮小して取り組まざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に2度実施した現地調査によって、本研究の課題に関する情報・データをある程度収集することができた。この情報・データの読み込みと整理を行って独自のデータベースを作成したうえで、平成24年度にはさらに踏み込んだ調査を実施する。 ただし、前項で述べたように、企業財務データの効率的な収集が困難になった。そこで、生鮮食品の流通チャネルの形成過程や流通業者間の取引関係などに注目して、当初の計画よりもいっそう定性分析に重点をおくという方向で対応する。 平成24年8月には、青果物の生産が最も盛んな地域のひとつであるチエンマイ県において、生産農家と仲卸業者からの聞き取り調査やアンケート調査を実施する予定である。また、可能であれば、大手食品メーカーでも聞き取り調査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初は民間情報サービス会社(BOL社)の有償サービスを利用する予定で、そのための予算も計上していたが、前項までで述べたとおり、そのサービスを受けることができなくなった。そこで、その分の予算を、現地での聞き取り調査やアンケート調査のための予算に加算することにする。
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