2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520965
|
Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
遠藤 元 大東文化大学, 国際関係学部, 准教授 (30307144)
|
Keywords | 東南アジア / タイ / 生鮮市場 / 流通 / 中間流通 / 多国籍小売企業 / 産地仲買人 |
Research Abstract |
平成23年度および24年度の調査結果を踏まえて、最終年度の平成25年度は首都バンコクと地方のチエンマイの2カ所を拠点に下記の調査を実施した。 バンコクにおいては、生鮮食品を取り扱う小売新業態、すなわち、スーパーマーケット、ハイパーマーケット、キャッシュ&キャリーのそれぞれのタイ最大手企業を訪問し、生鮮食品仕入れ業務の責任者から聞き取り調査を行った。他方、チエンマイでは、野菜の主要産地のひとつである、同県メーワーン郡を調査地に選定し、同地域の農業協同組合、生産農家、産地仲買人、ブローカー、農産物加工業者、運送業者などとの面接調査を行った。 平成23年度、24年度、そして25年度の調査結果をすべて踏まえて、次のことがわかった。小売新業態の台頭にともない生鮮食品の生産・流通過程でも小売新業態、とりわけ多国籍小売企業の影響力が増大しているという仮説、すなわち「スーパーマーケット革命」仮説に反して、小売新業態は大手企業といえども生鮮野菜の生産段階を主導的にコントロールしているわけではなく、中間流通業者の役割が仮説の想定以上に大きい。 本研究で得られた成果は、英米の研究者の一部が主導する「スーパーマーケット革命」仮説に対して、タイを事例とする実証研究の立場から反論したという点で大きな意義を有する。申請者は平成25年12月にシンガポール国立大学で行われた、「多国籍小売企業と東南アジアの小売変容」をテーマとする国際ワークショップに招聘され、欧米および東南アジアから参加した研究者たちの前で本研究の成果を発表した。
|