2013 Fiscal Year Annual Research Report
ホノルルにおける戦後移住日本人の「居住空間」とジェンダー
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23520968
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
影山 穂波 椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (00302993)
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Keywords | ジェンダー / 居住空間 / ハワイ / ネットワーク / 権力 |
Research Abstract |
ホノルル都市圏における日本人,とくに戦後移住した「新一世」の女性たちに注目し,都市空間が形成される過程を日本人ネットワークとライフヒストリー調査から検討してきた。第一に「新一世」を対象に1976年に発刊された『イースト・ウェスト・ジャーナル』に掲載された記事から、移住の経緯とハワイでの生活の概要について分析した。その結果、日本の家族や知人との関係が希薄になったとしても、「頑張る」ことでハワイでの新たな生活を築いていることが明らかとなった。 ネットワークの調査からは、ハワイにおいて日本語で話すことのできるつながり、日本語を生かすことができる場所として、ネットワーク活動が展開され、それがアイデンティティ形成の場の一つとなっていることが分かった。複数のネットワーク活動に参加している人も多く見られた。 ライフヒストリーの調査からは、国際結婚をした女性たちが、日本とは異なる環境で多様な困難に直面しながらもそれらを乗り越え、自立した生活を営んでいることが分かった。一方で「日本人女性」として期待されると、その期待に応える傾向が見られた。「気が利く優しい日本人女性」というステレオタイプに応え、意識的にも無意識的にも女性役割を再生産しているのである。 ハワイに移住する経緯は、女性の場合就業よりも結婚による事例が多い。男性の場合は、駐在の経験から退職後にハワイへの移住を決めたり、起業したりすることでハワイに滞在することを決定していた。夫婦で移住する例としては、マリンスポーツショップやレストランなどを起業した例が挙げられる。ハワイでの生活に憧れる側面も強い。 1980年代ごろまでは、移住後に本国である日本とのつながりが希薄になる例が多く見られたが、近年では、移住しても日本の家族や友人と密接なつながりを持っており、国を超えた関係を築いていることも明らかになった。
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Research Products
(4 results)