2013 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナム北部の少数民族による棚田開発とその生業形態の持続可能性
Project/Area Number |
23520972
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
磯田 弦 東北大学, 理学研究科, 准教授 (70368009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 どぅ哲 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (10281974)
四本 幸夫 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 准教授 (50449534)
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Keywords | ベトナム / 農村地理学 / 棚田 / 稲作 / 単収 / 化学肥料 |
Research Abstract |
過年度に実施したベトナム・サパ地域で実施した農家調査データを分析した結果、棚田で生産される米の生産性や農家の諸条件が、地形・利水条件よりも村ごとに大きく異なっていることがわかった。そこで本年度は、村単位でフォーカス・グループ・インタビューを行い、各村での社会制度および農法の詳細について、調査した。主な調査内容と調査結果は以下のとおりである。 (1)肥沃とされる谷底部の田の米の生産性が相対的に低い理由は、土地が肥沃であるため化学肥料を多量に使うと徒長し、収穫量が下がってしまうことであった。この村では、化学肥料としてNPKを用いているが、NPK利用では稲の生育初期に窒素を過剰に投与することになり、徒長の原因となっていた。しかし、農家が徒長をさせないために化学肥料を使用を抑えるために、使用している多収量ハイブリッド米の標準的な単収に達することができていない。この村で単収をあげるには、生育初期にリン酸を与え、後期に尿素を与える必要がある。 (2)肥沃とされない急傾斜地の棚田で、多収量ハイブリッド米の標準的な収穫量が達成できている理由として、この村ではリン酸を有機肥料とまぜたスラリーに苗をつけたのちに田植えをしており、その他にも、NPKおよび尿素を適切に利用していたからであった。経営耕地面積が狭く、土地が肥沃でないこの村では、化学肥料がなくては生存に必要な収穫があげられないために、化学肥料の用法・用量を注意深く試行錯誤し、低地水田に匹敵する単収をあげていることがわかった。 (3)経営耕地面積が、村ごとに異なり、世帯主の兄弟の数に異なる理由は、1980年初頭まで村単位で農業合作社が行われており、解体時に構成員に世帯規模に応じて平等に水田を分配したから、その後、農地の相続には息子に平等に分配したためである。
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[Presentation] Rice terrace expansion and their productivity in Sapa, Vietnam
Author(s)
Yuzuru Isoda, Nguyen Huu Ngu, Vu Kim Chi, Tatsuya Kanda, Yukio Yotsumoto, Nguyen Huu Van , Nguyen An Thinh , Hoang Thi Thu Huong, Doo-Chul Kim
Organizer
LEGATO Conference Hanoi 2013
Place of Presentation
Hanoi, Vietnam
Invited
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