2014 Fiscal Year Research-status Report
東アフリカ牧畜民の「五感」に基づく世界知覚に関する人類学的研究
Project/Area Number |
23520980
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
河合 香吏 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (50293585)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
|
Keywords | 東アフリカ牧畜民 / 知覚 / 五感 / 環境 / 身の周り世界(Umwelt) / チャムス / ドドス / トゥルカナ |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度(平成26年度)は、本来であれば、ウガンダのドドスないしケニアのチャムスおよびトゥルカナ、あるいはその両方において、最終的な現地調査を計画していた。しかしながら、2013年度(平成25年度)に実施したウガンダのドドスにおける現地調査時にA型肝炎に感染し、帰国後に入院、治療をおこなった。肝炎自体は治癒したが、退院後も体重の大幅減等、体調は万全には回復せず、日常生活に支障はなくなったものの、体力的に極めて過酷な東アフリカ牧畜社会の現地調査は困難であると判断し、その実施を断念した。また、国内での調査研究も体力的に無理がきかなかったため、前半期は治療に専念した。ただし、入院中から退院後の外来治療中に論文執筆に努め、「ウシを数えてひとを知る:生態人類学の方法」(西井凉子編『人はみなフィールドワーカーである:人文学のフィールドワークのすすめ』東京外国語大学出版会、156-177頁)を刊行した(2014年6月30日)。 秋以降は体調が回復してきたため、徐々に研究を再開し、第9回四大学連合文化講演会『環境・社会・人間における「安全・安心」を探る:安全で安心のできる社会』において「東アフリカ牧畜社会における民族集団間の関係:家畜の略奪と武装解除をめぐって」と題する講演(招待講演、2014年10月10日、於一橋講堂)を実施した。また、第33回日本人類学会進化人類学分科会シンポジウム「人類の社会性とその進化:共在様態の構造と非構造」と称する学会分科会シンポジウムを組織し、実施した(2014年11月3日、於浜松アクトシティ)。年度末には生態人類学会に参加し、同時に東アフリカ牧畜社会の研究者と研究連絡・打ち合わせをおこなった(2015年3月26-27日、於秋田・田沢湖温泉)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上記、研究実績の概要にも記したが、2014年度(平成26年度)は、本来であれば、ウガンダのドドスないしケニアのチャムスおよびトゥルカナ、あるいはその両方において、最終的な現地調査を計画していた。しかしながら、2013年度(平成25年度)に実施したウガンダのドドスにおける現地調査時にA型肝炎に感染し、帰国後に入院、治療をおこなった。肝炎自体は治癒したが、退院後も体重の大幅減等、体調は万全には回復せず、日常生活に支障はなくなったものの、体力的に極めて過酷な東アフリカ牧畜社会での現地調査は困難であると判断し、その実施を断念した。このように身体的な理由から、現地調査ができなかったため、やり残した調査項目が少なくなく、研究の進行が遅れてしまったことを認めざるを得ない。 また退院後も外来治療中は身体的な事情から、資料も整理・分析も順調に進めることができなかった。よって論文の執筆も1本、学会等での成果公開も秋以降に2回おこなうことが精一杯であった。国内調査(国内の諸研究機関における東アフリカ牧畜諸社会に関する資料や情報の収集)も同じ理由からほとんどできず、年度末に生態人類学会に参加した折に東アフリカ牧畜社会研究者と研究連絡・打ち合わせをするに留まった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2014年度(平成26年度)に海外における最終的な現地調査の実施ができなかったため、本年度はこれを確実におこなう。体調の回復の度合いにも左右されるが、できればウガンダのドドスおよびケニアのチャムスとトゥルカナの3つの牧畜社会において、最終的な補助調査を実施する。また、身体的・資金的・日程的な状況に余裕があれば、アフリカにおける調査に出かける際に英国かヨーロッパ(ドイツ、フランス)に立ち寄り、東アフリカ牧畜諸社会に関する人類学的資料の収集、研究者との情報交換や研究連絡・打ち合わせをおこなう。 そのうえで、最終年度となる本年度はこれまでに収集した資料の整理・分析を迅速に進め、論文執筆や学会発表などの成果公開に努める。
|
Causes of Carryover |
平成26年度は、本来であれば、ウガンダのドドスないしケニアのチャムスおよびトゥルカナ、あるいはその両方において、最終的な現地調査を計画していた。しかしながら、平成25年度に実施したウガンダのドドスにおける現地調査時にA型肝炎に感染し、帰国後に入院、治療を行った。肝炎自体は治癒したが、体重の大幅減等、体調は未だ万全には回復せず、体力的に過酷な現地調査は困難であると判断し、今年度の調査を断念した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記、「未使用額が発生した状況」のとおり、平成26年度に計画していたものの、身体的な問題で断念せざるを得なかったウガンダないしケニア、あるいはその両方における現地調査を、平成27年度に実施する。体調は順調に回復に向かっているため、平成27年度中には現地調査が可能であると判断される。そこで、平成26年度の未使用額をその経費に充てることとしたい。
|