2013 Fiscal Year Annual Research Report
タイ北部、ユーミエンの文化復興運動と民俗知識の再編に関する研究
Project/Area Number |
23520982
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
吉野 晃 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60230786)
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Keywords | 文化復興運動 / 民俗知識 / 儀礼知識 / 漢字教習 / 教習型実践 / イベント型実践 / 廟 / 女性シャマン |
Research Abstract |
平成25年度研究実績の概要 調査実施日程:平成25年4月10日~4月24日、5月10日~5月31日、6月11日~6月28日、7月9日~7月17日、8月12日~9月1日、9月10日~9月26日、11月1日~11月7日、11月28~12月4日にタイ王国内で現地調査を行った。25年度中は、イベント型の文化復興運動たるスポーツ文化祭と音楽祭、新型の儀礼が盛んになっていること、および儀礼知識伝承の後継者難を確認した。また新型の儀礼に採用されている歌唱の様式と、儀礼知識の再編について資料を得た。 最終年度までの成果概要 タイ北部におけるマイノリティであるユーミエン(ヤオ)人の社会文化変化に伴う民俗知識の再編プロセスと文化復興運動の動態とを明らかにすることを目的とし、次の3項目の解明を目標とした。(1)文化復興運動を担う組織。(2)文化復興運動で生じている民俗知識再編成の内容。(3)民俗知識の変化の一部としての文化復興運動の位置づけ。 これまでに以下のことが明らかになった。(1)全国組織ユーミエン・ネットワークと個々の村・組織等が各々独自に教習やイベントを企画実行し、それらが緩やかな連携を持って運動を形成している。(2)儀礼知識の後継者養成に難がある一方、民俗知識のスタンダード化が進んでいる。(3)文化復興運動の実践には、漢字教習・伝統文化セミナーなどの「教習型」実践と、ユーミエンのスポーツ文化祭・ユーミエン音楽祭などの「イベント型」実践との二つの類型があり、2010年代に入ると「教習型」実践が衰えて「イベント型」実践が盛んになってきた。(4)「イベント型」に類する実践として、儀礼知識の再編によって廟建設・女性シャマン出現・新型儀礼形式の特徴をもつ新たな宗教現象が生じている。(5)社会文化変化に伴って民俗知識に大幅な再編が生じており、それに応じて運動も多様な方向に展開している。
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