2013 Fiscal Year Research-status Report
地域の生存戦略と「日韓交流」：近現代対馬における交通・接触・他者表象
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23520988
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| Research Institution | Ehime University |
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Principal Investigator |
村上 和弘 愛媛大学, 国際連携推進機構, 准教授 (40363262)
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| Keywords | 対馬 / 日韓交流 / 交通 |
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| Research Abstract |
本研究の目的は、近現代対馬における日韓交流の実態調査を通じ、人々が地域の歴史性や特色をどのように利用してきたかを明らかにすることにより、生存戦略としての「交流」現象の立体的解明を図ることにある。
平成25年度は、前年秋に対馬から盗まれ、その後韓国内で発見された仏像の返還をめぐり、抗議の意思を示すため、8月開催の「厳原港まつり対馬アリラン祭」から「アリラン祭」の名称が削除され、また、そのメインイベントとして30年以上続いてきた「朝鮮通信使行列」パレードの開催が中止された。このため現地調査に際しては、敏感になりがちな地域感情に十分な配慮を払いつつ遂行した。
まず5月には「釜山朝鮮通信祝祭2013」参加の「対馬武士団」に同行し、参与観察調査を行った。つぎに8月に対馬市厳原町で「対馬！厳原港まつり」の参与観察調査を行うとともに対馬市各地(美津島町・上県町・上対馬町)にて韓国との交流状況および交通の変遷等についての聞き取り調査を行った。11月初旬には岡山県瀬戸内市で「朝鮮通信使縁地連絡協議会」総会および関連諸行事の参与観察を行い、同じく11月下旬には対馬市厳原町にて「朝鮮通信使振興会」関係者の聞き取り調査を行った。さらに平成26年2月には長崎歴史文化博物館にて資料調査を行った。
これらの調査で得られた成果の一部は以下の形で公開した。まず「東アジア近代史学会」大会シンポジウム(6月、於中央大学多摩キャンパス)にて「朝鮮通信使行列」パレードの成立過程および意義付けの変容過程を中心とした報告を行った。同発表に基づき執筆した論考は、現在、出版社にて校正作業中である。また、『人文学論叢』第15号(愛媛大学人文学会)に親イベント「対馬アリラン祭」の変遷についての論考を発表した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記した通り、おおむね研究計画通りに進行している。
学会発表や研究論文等の形で、本年度までの研究成果を公開することができた。なかでも今年度は対馬の代表的日韓交流イベントと目されてきた「朝鮮通信使行列」パレードおよび「対馬アリラン祭」に関し、それぞれ包括的な報告を行うことができた。今後、細部を詰める必要はあるが、骨子はほぼ解明できたと判断できる。
平成25年度は仏像盗難問題に端を発し、日韓交流イベントの名称変更や開催中止等の動きが見られた。これら現在進行形の状況を現地調査によって把握できた点は、「生存戦略としての日韓交流」現象の解明に繋がる成果であると言える。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成24・25年度は「釜山朝鮮通信使祝祭」に参加する「対馬武士団」の同行調査を行ったが、今年度は韓国でのフェリー事故を受け、同行事が中止となった。このため、現地調査としては、まず8月開催の「対馬厳原港まつり」参与観察を行う。仏像盗難問題の余波を受け、同行事は平成25年度から「アリラン祭」の名称が削除され、またメインイベントである「朝鮮通信使行列」パレードは開催中止となった。このように、同イベントは日韓交流をめぐる軋轢の、いわば「焦点」となっている。そこで今年度は、特に同イベント関係者および地元住民の聞き取り等を通じ、「日韓交流」をめぐる言説の把握に努める。
また、夏季及び冬季に対馬北部における交流実態の調査を継続して実施する。平成26年8月から平成27年3月まで「愛媛大学外国派遣研究員」として韓国に滞在予定であるため、この機会を利用して韓国内における対馬観、および釜山－対馬航路を利用しての対馬調査等を実施予定である。
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| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「次年度使用額」が104,844円生じた。これは平成26年3月に予定していた現地調査を他プロジェクト経費にて遂行したためである。
次年度使用額は、平成26年度における現地調査の充実、および学会発表の旅費等に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)
