2014 Fiscal Year Annual Research Report
地域の生存戦略と「日韓交流」:近現代対馬における交通・接触・他者表象
Project/Area Number |
23520988
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
村上 和弘 愛媛大学, 国際連携推進機構, 准教授 (40363262)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 対馬 / 日韓交流 / 交通と交流 / 生活史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、近現代対馬における日韓「交流」の実態調査を通じ、生存戦略としての「交流」現象、すなわち人々が地域の歴史性や特色をどのように利用してきたかを明らかにすることで交流現象の立体的解明を図るものである。対馬は国境離島としてのイメージが強く、それだけに島内で見られる多様な交流現象も、何らかの理念に基づいた国際交流の取組みであると解釈されがちである。これに対し本研究課題では、これらの交流現象を島内地域社会の生活レベルから発生した事象として捉え、まずは生活世界との関連からの把握を試みた。 まず、交流現象の基盤となる「交通」基盤の変化を解明すべく、対象とする時期を、戦前の国境が消失していた時期、戦後再形成された国境により半島との交通が遮断されていた時期、そして現在の交通路が再開設された時期の3つに大別するとともに、各時期における「韓国(朝鮮半島)」および「本土」との交通・交流実態の解明を試みた。 次に、島内の地域別・自治体レベルにおける「日韓交流」の展開および住民の「韓国」観/「本土」観を解明すべく、主対象を南部・厳原(旧厳原町中心地)に定めての現地調査を行った。具体的には同地で毎年8月に開催される「厳原港まつり対馬アリラン祭」(平成25年度より「対馬厳原港まつり」に改称)およびメインイベントと目されてきた「朝鮮通信使行列」パレードの現地調査を行い、発足以降の経緯解明、および同イベントを焦点に表出される地域社会の交流観の把握・解明を行った。 また、比較対象として北部・比田勝(旧上対馬町中心部)および東西両沿岸地域(村落部)を取り上げ、これらの地域における「日韓交流」の展開および戦前期から現在に至る時期の地域間関係、特に物流・人流に関する実態調査を行った。 さらに朝鮮通信使をキーワードとした地域間連携の動向把握のため、「朝鮮通信使縁地連絡協議会」の参与観察を実施した。
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Research Products
(6 results)