2011 Fiscal Year Research-status Report
現代カンボジア仏教界における俗人女性修行者と論蔵学―タイへの越境と学び
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23520997
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Research Institution | Aikoku Gakuen University |
Principal Investigator |
高橋 美和 愛国学園大学, 人間文化学部, 教授 (40306478)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | カンボジア / タイ / 俗人女性修行者 / 論蔵 |
Research Abstract |
本研究は、上座仏教のパーリ三蔵の一部である論蔵の学習について、俗人女性修行者の行動を軸に、カンボジア・タイ2ヶ国を視野に含めて検討することを目標とする。こうした視点での調査を行った研究者はこれまでいないと考えられるので、第一歩を踏み出せたことには大きな意義があると考えている。 本研究にはカンボジアとタイでのフィールドワークが必要であり、調査内容は以下の3つの柱から成っている。:(1)キー・インフォーマントである2名のドーンチー(仏教徒俗人女性修行者)の詳細なライフヒストリーの聞き取り。(2)論蔵の学習現場の参与観察とキー・パーソンへの聞き取り。(3)カンボジアおよびタイにおける論蔵学や試験制度の展開に関する調査。平成23年度は、当初予定していた、(1)の大半を終わらせ、タイで(2)の一部を実施するという目標をほぼ達成できた。 カンボジアでは上記2名のドーンチーへの集中聞き取りを実施し、これまでラフな把握にとどまっていたタイでの生活や論蔵の学びと講義についてかなり詳細な情報を得ることができた。タイではこのドーンチー2名が滞在した先(スリン県とバンコク)を訪問、受け入れ先寺院の住職や俗人女性修行者に話を伺うことができた。 タイではさらに、タイ唯一の女子仏教大学(ナコーンラーチャシーマー県)の見学と学長へのインタビュー、論蔵学を先導してきたマハーチュラーロンコーン大学で論蔵学を修めた女性修行者へのインタビューも実施した。近年、論蔵の学習者は僧侶や修行者から一般在家にシフトしているという。 タイでは論蔵学習は全国展開していることもあり、全容を把握するには至らなかったがので、次年度の課題としたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記「研究実績の概要」に記載した通り、平成23年度当初目標としていたことをほぼ達成できた。ただし、データ入力が一部完了していないため、区分を(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
上記「研究実績の概要」に記載した当初計画のうち(2)と(3)に重点を置いて行う。すなわち、論蔵学のカンボジアとタイにおける学習者の実態についてさらに詳細に調査し、論蔵学のカリキュラムや試験制度、教材開発、教師についても概要を把握したい。 さらに、今年度は1960年代以降これまでのタイ、カンボジアにおける論蔵学の展開と進展について、文献資料にあたるなどして概要を把握したい。また、近年1990年代以降については、当時を知るキーパーソンへのインタビューを試みたい。具体的には、タイにおいてはマハーチュラーロンコーン大学の論蔵教師やタイ・メーチー(俗人女性修行者)協会の幹部、論蔵学推進団体の幹部などである。カンボジアでは、仏教私塾を開いている俗人説法家・教師である男性、またパンニャーサハ大学の仏教カリキュラムの責任者などを予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費として、データのデジタル化のためのpdf変換機能のあるスキャナーに50,000円、書籍等に10,000円。 旅費として、カンボジア・タイ渡航(合計2回、合計4週間)のための旅費450,000円。 謝金として、データ入力謝金50,000円、カンボジアおよびタイでの調査助手謝金30,000円。 その他として、調査時車借り上げ、論文投稿費用などに20,000円合計620,000円を予定。
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Research Products
(2 results)