2013 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化する互酬性―サモア儀礼交換の新たな展開
Project/Area Number |
23520999
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
山本 真鳥 法政大学, 経済学部, 教授 (20174815)
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Keywords | 国際研究者交流 / サモア:トンガ:ニュージーランド / 文化人類学 / 互酬性 / トランスナショナリズム / グローバリゼーション / 移民 / 文化政策 |
Research Abstract |
サモア社会の儀礼交換を中心とする互酬経済は、20世紀後半の市場経済の進展に伴い、変容を遂げつつエスカレートしてきているが、さらに2000年(平成12年)に始まる、政府による女性の伝統的な仕事の見直し、儀礼交換縮小および伝統回帰の政策介入があって、大きな転機を迎えている。 最終年度であるために、これまで収集したデータ(録音、写真、ノート等)をまとめ整理することに時間を費した。 3月にサモア独立国を訪問して、政府部局を訪ね、データのフォローアップを行った。具体的数値や立法段階の政策などを見せてもらった。12月にユネスコの無形文化財保護条約を批准して、ファインマットを無形文化財として登録する動きが政府部内で生じた。このためにタスクフォースが設置された。しかし文化財として保護する動きとこれを商品化して生産を増やし、女性の現金収入増の政策との間でやや摩擦が生じる気配がある。一方民間では、政府の目標値まで達しないが、ファインマットの品質向上は進んでいる気配が見られた。この成果はすでにほぼ完成している原稿に修正として加える。 8月に国際人類・民族科学会議に出席し、この調査の結果を英語で報告した。このために口頭発表用に作成した論文を膨らませて作成した英文論文はまだ完成一歩手前であるが、校閲が済み次第、Journal of the Polynesian Societyに投稿する予定である。またこの成果を発表するために、26年8月にサモア国立大学で開催されるサモア会議に出席する。現在同時並行で、これまで儀礼交換について書いた論文とあわせて、本を執筆している。こちらは、26年10月の科研費出版助成に応募する予定である。 グローバル化する世界の中で、サモア社会のトランスナショナリズムは儀礼交換によって支えられてきた。一連のファインマットを巡る文化政策は本国の求心力を増すこととおおいに関連している。
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