2013 Fiscal Year Annual Research Report
マヤ遺跡への古代文明イメージの意味づけと文化資源化に関する観光人類学的研究
Project/Area Number |
23521003
|
Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
杓谷 茂樹 中部大学, 国際関係学部, 教授 (90410654)
|
Keywords | 観光 / 文化資源 / 遺跡公園 / 古代文明イメージ |
Research Abstract |
本研究ではメキシコ、ユカタン半島北部のチチェン・イツァ遺跡公園を中心に、古代から現在にいたるまで遺跡を取り巻く様々な人間のまなざしを受けながらその姿を変えてきたさまを「遺跡誌」として整理し、そこで古代文明イメージが次々と創出され、使用され続けている様子を、遺跡に寄り添った立場から理解しようとしてきた。 そのために、1)遺跡の公園化の歴史と現状、2)ホストとしての観光圏におけるマヤイメージの操作、3)ゲストの側のマヤイメージのあり方の3点に注目して調査研究を進めてきた。その過程で、遺跡公園管理者と地元の露店商との対立と交渉や、大きなイベントとなった秋分の日、および2012年12月21日のチチェン・イツァ遺跡公園の様子を観察できたほか、ボストン、ニューヨーク、フィラデルフィアの博物館におけるマヤ展示のあり方の観察なども実施できた。これにより「遺跡誌」を描くための基礎的なデータ、すなわち遺跡公園に向けての多くのまなざしの存在と、遺跡公園側の対応の仕方に関する知見の多くを得ることができた。 ただし、現時点でこれをまとめてしまうことには躊躇がある。それは、特に遺跡公園管理者と地元露店商との対立が、遺跡の再整備計画の進展も絡み、当初の予想よりも大きなものとなってきたことによる。現在遺跡公園はいままさにその姿を変えてしまいかねない状況にあり、また社会的弱者の先住民である地元露店商が今後どうなってしまうかについても不明である。この問題に一区切りがつくまでウォッチを続ける必要がある。その意味で本研究の本当の意味での最終報告は今後継続する調査結果を含めた形で行われる事になるといえるかもしれない。
|