2016 Fiscal Year Annual Research Report
Anthropological research on the Networking of Korean Chinese in Korea, USA and Japan
Project/Area Number |
23521005
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
原尻 英樹 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70231537)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2017-03-31
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Keywords | 朝鮮族 / ムラ / 契 / 移動 / 共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は最終年度であった。このため、これまでの調査・研究内容を概観しながら、調査等が不十分な点等を再検討して、データ収集とともに、最終年度たるべき今後の著作出版のための研究の理論的枠組みについての検討を行った。 まず、調査レベルで不十分であった点は、朝鮮族のムラの村落誌についての調査であった。既に、これについて着手している延辺在住の研究者に連絡を取り、研究状況を確認するとともに、私が収集した資料との照会をはかった。この村落誌研究は、これまで誰も着手しておらず、初めての試みであったため、幸運なことに最終年度にこの調査・研究をしている研究者等と連絡が取れたので、私の研究に含めることができた。 朝鮮族のムラは、朝鮮のムラの延長線上にあるが、旧満洲という環境条件が関わっているため、朝鮮の伝統のムラ維持に、別の要素も付け加わっている。特に、1.米栽培に農業が集中化していたこと、2.漢族との共生のために野菜・雑穀、肥料などは漢族に依存していたこと、これらが指摘できる。また、朝鮮の伝統ということでは、ムラビトの相互扶助のための契(日本の講と同じ意味になる)が組織されていた。歴史的にいうと、旧満洲国時代に日本の植民地行政が組織化した朝鮮人用の契を準備して、それに大半の朝鮮人は加入していた。これは朝鮮人をコントロールするための方策であったが、日本の植民地支配が終了した後も、そのまま契は維持され、朝鮮族のムラビトの相互扶助が継続された。 これまでの調査・研究全般を概観すると、旧満洲時代の生活経験を文化資本として、朝鮮族はこれまで戦略的に生き延びてきており、それが、海外居住にも応用されていると考えられる。移動は、中国国内移動を繰り返し(農閑期に一種出稼ぎとして、社会的上昇として大都市の大学進学、日本留学など)、その後中国の経済変動期に外国移住、実質的な移民につながっていった。
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Research Products
(1 results)